ガンズ・アンド・ローゼズのクレイジーな瞬間50選(後編):1989 ~ 2010年

1992年夏:ローズ、ウォーレン・ベイティを口撃する
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Photo by Peter Still/Redferns, TriStar Pictures/Getty Images

ウォーレン・ベイティは「ダブル・トーキン・ジャイヴ」は自分のことを歌っているのではと思う程度には自惚れが強い。そして、パリでの一夜も、同じようなものだ。イジー作によるこのロック・チューンを、アクセルは「遊び好きの(略)寄生虫だ(略)自分にはない生気を若いやつらから吸って生き長らえてるジジイ(略)ケチなチンピラ」と呼ぶベイティに捧げた。ベイティは、アネット・ベニングと結婚する前、アクセルの元恋人ステファニー・シーモアと短期間交際していた。そして、その俳優とスーパーモデルの関係がまだ続いていると考える向きもあった(少なくともアクセルは)。「よく聞け、変態ジジイ」タバコの煙を吐きつつステージをズカズカと歩き回りながらアクセルは牙をむいた。「お前がマドンナにはめられたって言うなら、俺はアネットに賭けるぜ。このクソ馬鹿野郎」 ― ベイティとベニングは4人の子宝に恵まれ、2015年3月に結婚23周年を迎えた。


1992年9月9日:アクセル、ニルヴァーナにしてやられる 
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Photo by Paul Harris/Getty Images

92年、同室にいることを許されないふたりのロック・スターといえば、地球上でもっともキレやすい人類アクセル・ローズと、コートニー・ラヴという生き物だった。92年のMTVビデオ・ミュージック・アワードの舞台裏で起きた有名な事件(子どもの名付け親になってくれとラヴがアクセルに絡んだ)の前から、アクセルとカート・コバーンは、お互いをけなしていた。後のコバーンの回想によると、アクセルが彼の元へやってきて、「女房になめた口を利かせるな。さもないとお前らを表に引きずり出すぞ」と怒鳴った。すると、カートは信じられない行動に出た。コートニーに向かって「黙れ、クソ女!」と嫌味たっぷりに叫んだのだ。ニルヴァーナによる「リチウム」の演奏後、ドラムのデイヴ・グロールは「ハーイ、アクセル!」と繰り返し、アクセルをさらに刺激した。


1992年12月5日:アクセル、(妨害者の助けを得て)ブエノスアイレスのライヴを中止して観客に説教する

セントルイス暴動とモントリオール暴動の後も『ユーズ・ユア・イリュージョン』ツアーは敢行され、ガンズ・アンド・ローゼズはブエノスアイレスに混乱をもたらした。「ナイトレイン」を演奏中、ひとりのファンがステージに物を投げつけた。アクセルはライヴを中止し、その妨害者を呼びステージに上げ、「ここにはろくでもないバカがいる…ステージに物を投げればライヴが盛り上がるって勘違いしてるクソ野郎が」と、辛辣なメッセージを根気よく伝えた。そして、バンドの安全を脅かす者がいれば帰ると警告した。アクセルは妨害者に再び呼びかけ、「もし隣の奴が何か投げたら、ボコボコにしてくれ」と、再び警告した。ライヴは続行され、バンドは93年の大規模ツアーの締めくくりとして、再びアルゼンチンを訪れた。


1993年4月4日:ダフ、サクラメントで“小便の瓶”を割る
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『ユーズ・ユア・イリュージョン』ツアー中、観客が投げた、スラッシュ曰く“小便の瓶”がベースのダフ・マッケイガンに当たり、中止になったライヴがある。「楽しいライヴをぶち壊したくはないんだ。俺も楽しいし。でも、誰かが投げた瓶がダフの頭に当たって、もうプレイできる状態じゃない」とアクセルは観客に告げた。「ごめんな。気をつけて帰れよ。もしクソ野郎を見つけたら、殺してくれ」


1993年6月16日:シャノン・フーン、裸でステージにピザを届ける
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Photo by Mick Hutson/Redferns/Getty

6月にスイスで行われたライヴで、ブラインド・メロンのシャノン・フーンが裸で、ステージ上のバンドにピザを届けた。ピザを片手に5万人の観客に大事なモノを見せつけた後、フーンは何事もなかったかのように座ってボンゴを演奏した。ゲスト・ドラマーのコージー・パウエル(ブラック・サバス、ジェフ・ベック・グループ)は、同年7月にブエノスアイレスで行われたライヴでフーンに倣ったが、服装はもっと地味で、ドミノピザの配達員のユニフォームを着用していた。

Translation by Naoko Nozawa

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