アデル ロングインタヴュー(後編):子育て、ダイエット、そして『25』の制作秘話まで

Photograph by Theo Wenner


彼女の考えは当時とは変わったはずだ。「2枚連続で失恋についてのアルバムを作るなんて野暮よ」彼女はそう話す。「野暮どころじゃない、陳腐ね。でも、もし本当に私が失恋して悲しみの淵に沈んでいたら、どんなアルバムを作ったのかしら。だってもう失恋についてのアルバムだけは絶対に作れないもの。同じことを繰り返すつもりはないの」

アーティストならではの波乱に満ちた人生への憧れも、彼女は理解できるという。「子供がいなかったら、私もそういう道を歩んだかもしれないわ」彼女はこう続ける。「自分が幸せな家庭を築くなんて思いもしなかった。いつも波乱に満ちた人生を夢見てたから。幼い頃から恋に落ちることを願う一方で、刺激に満ちた人生に憧れていたわ」

未だに悩んでいるというツアーについて、彼女はクリスマスまでに決定するつもりだという。「まだ私ができていないことは何か、答えはひとつしかないわ。それはツアーに出ること。だって私はまだ一度もやり遂げていないもの」今回の機会を逃せば、彼女はむこう何年もツアーには出られないかもしれないという。アンジェロが学校に通うようになったら、彼を連れ回すことはしたくないからだ。

彼女は今でも本番前はひどく緊張するという。ステージで口を開いた瞬間、声が出なくなるのではないかという不安を未だに拭えずにいる。彼女が実際に喉を負傷し、そして乗り越えたことを考えれば、少し不思議に思えるかもしれない。「でもあれはショーの最中におきたわけじゃないもの」そう言って、彼女は考えを払いのけるように手を振った。また、意気揚々とステージに向かうも、巨大なアリーナに客が5人しかいないという悲劇もよく頭に浮かぶという。

喉の負傷の再発も気にかけている。「もしもう一度喉を負傷したら、私は2度とツアーには出られないと思う」彼女はそう話す。「回復するのを待って、またスタジオに戻ることはできるかもしれない。でも、全力で臨んで失敗した結果、もう一度挑戦する勇気を持てなくなってしまったら、もうどうしようもないもの」

「気持ちの面では永遠に21歳」とジョーク交じりに話す彼女は、ショーでは必ず過去の曲も演奏すると公言する。「自分の代名詞となるような曲を持つことは、すべてのアーティストにとって夢だと思うもの」彼女はそう話す。「あるバンドのライブに行ったとして、名前は挙げないけど、一番有名な曲を演奏しなかったらどう?私ならふざけんな!って思うわ」

「オーディエンスがすべての曲を好きだとは限らないもの」彼女はそう話す。「何か大切な思い出と結びついた曲に、人は強い思い入れを抱くと思うの」

「それはアーティストにとって最高の喜びよ」彼女は微笑み、ステージに立つのが待ちきれないと言わんばかりに瞳を輝かせた。「ファンが望む曲を演奏する、それは使命なのよ」

Translation by Masaaki Yoshida

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