アデル ロングインタヴュー(後編):子育て、ダイエット、そして『25』の制作秘話まで

Photograph by Theo Wenner


過去数年間、自分自身のことで精一杯だったアデルは、ポップ・カルチャーにおけるフェミニズムの台頭についてはほとんど知らなかったという。「そういうムーヴメントが起きているとしたら、素晴らしいことだと思うわ」彼女はそう話す。「中心人物は誰なのかしら?あなたはフェミニストですかって私に聞いてくれない?その質問をされる男性はあまりいないでしょうね」

筆者はあえて尋ねなかったが、彼女は構わずこう続けた。「私はフェミニストよ」そう断言して、ワインを口に運んだ。「人種も性別も関係なく、すべての人が平等に扱われるべきだと私は信じているの」彼女は男性ばかりの会議に出席して、見下された経験もあると話す。「ステージに立って歌ってるのはあんたじゃなくて私なんだよ」声を荒げながら、彼女は椅子の上に立った。「何も知らないのはあんたらの方だっての。見下してんじゃないわよ!」

楽曲はアルバムには収録されなかったものの、シアとの共同作業はとても楽しかったと彼女は話す。(『アライヴ』は後にシアがシングル曲として発表)アデルが女性とコラボレーションしたのは、これが初めてだったという。「ふたりで現場で威張り散らしてたんだけど、すごく気分が良かったわ」彼女は笑いながらそう話す。「プロデューサー陣は男性ばかりなんだけど、私たちにものも言えない感じがとにかく愉快だったわ」

「私が幸せだって知ったら、みんながっかりするのかしら?」先日のディナーから数日ぶりに再会した今日、セーターにレギンス、そしてマルジェラのキラキラしたブーツという服装の彼女は、おもむろにそう尋ねてきた。ノッティングヒル・ストリートにある彼女のマネージャーのオフィスは明るくモダンで、アデルが獲得した賞のトロフィーが様々なインテリアとともに飾られている。部屋の隅に置かれたアイヴァー・ノヴェロ・ソングライティング・アワードのトロフィーについては話してくれたが、アメリカで1,000万枚以上売れたレコードに贈られるダイヤモンド・アワードについては言及しなかった。

自分の曲がファンの人々にとってどれほどの意味を持つか、アデルはよく自覚している。「私の曲が誰かの心の支えになっているとしたら、それ以上に素晴らしいことなんてないわ」彼女はそう話す。「このアルバムのムードは、『最高にハッピー!』みたいなものじゃない。それでも、私は今幸せな私生活を送っているし、もしかしたら失恋の悲しみを歌った曲を望む人の期待には応えられていないかもしれない。でも私は、自分以外のことを曲にはできない。悲しみを感じていない今の私が悲しい曲を書いたら、それは真実ではないもの」

彼女は前回のローリングストーン誌でのインタビューの最後に、「自身の私生活が順調そのものだったら?」という質問に対し、ジョーク交じりにこう答えていた。「曲が書けなくなるわね。ファンは『頼むから別れてくれ!』って懇願するんじゃないかしら」そのことを伝えると、彼女はおかしくてたまらないという様子で笑った。

Translation by Masaaki Yoshida

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