アデル ロングインタヴュー(後編):子育て、ダイエット、そして『25』の制作秘話まで

Photograph by Theo Wenner


『21』のクラシックな作風との違いをより明確にするため、アデルはシンセやエレクトロニック・ドラム・サウンドを積極的に導入しようとした。デンジャー・マウスとの共作である『リヴァー・リー』で聞くことができる合唱隊のコーラスのような音は、彼女自身の声を重ねて作ったものだ。「今作では、ユニークで奇妙な音作りに取り組む必要があったんだ。」『25』でも2曲を彼女と共作しているポール・エプワースはそう話す。「このアルバムでは伝統的なサウンドよりも、モダンで遊び心に満ちた音が求められていた。現在のシーンに対する、彼女からの挑戦状と言えるかもしれないね」

『25』のアウトテイクは、ほぼアルバム1枚分に相当するという。アデルはクオリティ・コントロールに余念がなく、取材当日もアルバムのトラックリストに微調整を加えていることころだった。「100パーセント納得できてない曲がいくつかあるの」アデルはそう話す。「こういうところでの妥協が命取りになると思うの。ファンが好きなアーティストの曲なら何でも受け入れると思ったら大間違いよ」

アデルは先日、ガーディアン紙が「ものすごく美味だが、極めて高価」と評した和風パブ/レストランのKurobutaで、自身の27歳の誕生日を祝った。彼女は今夜改めてそこを訪れ、我々が案内されたキャンドルの灯りが印象的な階下の個室には、巨大な木製のテーブルが置かれていた。こういうところに時々来ることで、どこにでもいるロンドンの女の子という自覚を保っているのかもしれない。

揚げ物が中心のメニューに目を通しながら、筆者が現在ダイエット中であることを告白すると、アデルは愉快そうにこう話した。「でも今日は忘れて、お腹いっぱい食べましょ」彼女の背後の壁には様々なロックスターのポスターが貼られており、そのうちの一枚はジミ・ヘンドリックスの『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ」のジャケット写真だった。「遠慮はなしよ、動けなくなるまで食べるの!」そういってメニューを眺める彼女の目は輝いている。「今日はとことん行くわよ!」

彼女は部屋の隅に目をやってこう話す。「前回来た時はあそこにテレビが置いてて、ハードコアポルノのアニメみたいなやつを流してたのよ。すっごいイカれてた。お寿司を食べてる隣でハードコアポルノが流れてるなんて、どうかしてると思わない?」

彼女は「日常的ドリンク」と呼んでいるアマレット・サワーを飲み干した後、ソーヴィニヨン・ブランのグラスに切り替えた。「あまり過激なことを言わないほうが良さそうね」アデルはそう話す。「これがインタビューだってこと、すっかり忘れてた」

Translation by Masaaki Yoshida

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