70年代のデヴィッド・ボウイを撮った男:ミック・ロックが語るジギー・スターダストとの日々

1972年から1973年、デヴィッド・ボウイがジギー・スターダストという名でポップシーンに旋風を巻き起こした時期、ミック・ロックは彼の公式フォトグラファーだった。(photo by Mick Rock)


このプロジェクトはどのようにして始まったのですか?あなたとデヴィッドは、以前、2000年代の始めに出した写真集で同じような題材を扱っていますね。

「これはタッシェンのアイディアだったんだ。おそらく3年前、僕が腎臓の移植手術をする前に編集者が連絡してきた。そのとき僕は“デヴィッドと僕はもうすでに素晴らしい本(「Moonage Daydream」)をジェネシス出版から共著で出しているよ”と答えたんだ。彼らは“それは知っているけれど、それは1)もう絶版になっている、2)僕たちのバージョンが作りたい、そして3)あなたが未公開の写真をたくさん持っているのはわかっている”と言ったんだ。そう、彼らは僕に圧力をかけた。だから僕は“デヴィッドが賛成してくれて、一緒にやると言わない限りやらない”と答えたんだ。

そして僕はデヴィッドに連絡をとった。彼はタッシェンの本が好きだと言い、この提案について考えた。そして「ミック、一緒にやろう」と答えたんだ。彼がすべてを承認した。すべて彼が管理し、目を通したんだ。彼の一番の心配、それは僕の心配でもあったけれど、ある一定の分量を未公開写真にするというものだった。僕はこの本の写真のおそらく45から50パーセントは確実にこれまで披露したことがないものにしようとした。これは重要なことだった。

そしてもう一つの違いは、この本のために写真をスキャンするのを僕がすべて直接監督したということだ。全部原本からスキャンしたんだ。ジェネシスから本を出したときには原板とプリントを彼らに渡し、それを彼らがスキャンしたんだ。画質という点においては、この本の方が一歩上回っている」

デヴィッドと彼の音楽をアルバム「ハンキー・ドリー」のプロモーション盤に出会う前に聞いたことはありますか?

1969年に彼のことはうっすら知っていたけれど、ぼんやりした印象だ。彼はイギリスで「スペイス・オディティ」をヒットさせていた。(スタンリー・キューブリックの映画)『2001年宇宙の旅』の頃だ。僕はデヴィッドがスターになった後、1972年にデヴィッドの「スペイス・オディティ」のビデオを作り直した。彼はアルバム「ジギー・スターダスト」(「Ziggy Stardust and the Spiders From Mars」)を作ったときにはまだスターではなかったんだ。そう、すべてイメージの投影の問題だった。デヴィッドはあらゆるところで嫌なやつというイメージを発散していた。パフォーマンスだけでなく、インタビューでもレコードでも歌詞でも。“僕はすべてに意味を与えることができる、ロックスターとして/金さえあればできる/今の状況にはもううんざりだ”という部分のように(「スター」の歌詞からの引用だ)。つまり彼はそれを望んでいた。とても野心的で狂気を発散していた。彼はそれを望んでいたし、それを堪能することができる人物だ。

初めてデヴィッドに会ったときの印象を教えて下さい。

彼はとても魅力的で親切な男だった。今でもそうだよ。バーミンガム・タウン・ホールで彼がパフォーマンスをしているのを見たとき、彼の衣装は派手ではなかったし、その後の彼のようなメイクもしていなかったけれど、その原型はあった。なによりもパフォーマンスが魅惑的だったんだ。この時期の僕は敏感だったんだと思う。デヴィッドに催眠術にかけられていたような状態だった。

彼がスターになるという前兆は感じましたか? 

僕は彼を信じていた。もちろん僕たちはみんな、知ったかぶりする嫌な野郎だったし、自分たちが何でもわかっていると思っていた。僕たちは自分たちが最高にイカしてると考えていた。当時大部分の人は知らなかったベルベット・アンダーグラウンドが誰か、ザ・ストゥージズが何者かを僕は知っていた。どうなるか僕に想像ができたか? そうだな、随分昔のことだ。僕はデヴィッドの本物の信奉者だったんだよ。

あなたはとてもデヴィッドに近いところにいましたね。なぜ彼はあなたを信頼したのでしょう?

多分、僕がインタビューもやっていたからだろうね(ローリングストーン誌もその一つである)。デヴィッドやルー(・リード)、イギー(・ポップ)、そしてその後はクイーン。僕はアーティストに喜んで欲しかった。

そして一つ、デヴィッドはドラッグクイーンの服装をしていたというわけではないんだ。彼はむしろ歌舞伎、宇宙時代の歌舞伎のようだった。彼の音楽をドラッグロックと呼ぶ人もいたけれど、本当はそうではなかった。まるで違うものだったよ。もちろん彼はそういう偉大な要素をすべてミックスしていた。

彼は僕に対して非常にオープンだったし、気を許していた。あのときにはそれが普通のことに見えた。彼は「これは撮るな、あれは撮るな」というようなことは言わなかった。とても前向きで、人に勇気を与えるような性格なんだ。彼は閉じこもるタイプではなくて人に対して開かれていた。彼は僕に写真を撮ってもらうことを望んだんだ」


photo by Mick Rock

Translation by Yoko Nagasaka

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