ラナ・デル・レイ『ハネムーン』に隠されているもの

最後の曲は「ミュージック・トゥ・ウォッチ・ボーイズ・トゥ」と「フリーク」


ラナはアルバム「ハネムーン」のサンプラーを昨日公開し、これまでに発表していない2曲の一部を披露した。「カリフォルニアに来て私のような変わり者(フリーク)になって」と彼女はソプラノのバラード「フリーク」で聞くものを招き寄せる。そして、そのときには髪には必ず花をいくつかつけて欲しい。短いクリップの中で彼女と4人の女性はマーメイドヘアでフリンジのついた袖とレースをあしらった服をまとい、終わらない夏の神々の光の中で輪になりスローモーションで踊っている。「ミュージック・トゥ・ウォッチ・ボーイズ・トゥ」はラナが彼らの怒りを感じているかのように聞こえる。ラナの曇ったようなコントラルトが海底にまで届く中、不気味なコール&レスポンスの序奏部はディストーションで聞き分けにくくなっている。

「ミュージック・トゥ・ウォッチ・ボーイズ・トゥ」はゼイン・ロウの番組「Beats1」で、フルで公開された。レイはこの曲がお気に入りの一つであるという。「これは通り過ぎる人の影、少女の目、彼女の顔のビジュアルにぴったり合う」と1月にラナは雑誌「LA Weekly」誌で語っている。

「ハネムーン」はラナの作品の中でもっとも映像的に人の心を掴んで離さないものの一つであり、彼女が過去のクリップや映像をつないで自分のビデオを制作していた頃を思い出させる。「ハネムーン」のプロモーションアートの大部分を撮影したのは、彼女の妹でフォトグラファーのキャロライン・グラントだ。すべてソフトエッジで、極めて優れた仕上がりだ。ハリウッドのスターたちの家をじっと見つめる売り出し中の若い女優。庭に座った少女。「ハネムーン」の繊細なデザインは「ミュージック・トゥ・ウォッチ・ボーイズ・トゥ」のような脆さを感じさせる楽曲をさらに引き立てている。

ニーナ・シモンの再解釈
 Photo of Nina Simone Photo by Tom Copi/Michael Ochs Archives/Getty Images

ラナがインスタグラムにアップした「ハネムーン」のトラックリストの最後の一曲は見覚えのあるものだった。「ニーナ・シモンの「悲しき願い」をカバーしているの」と2015年1月にラナは雑誌「ビルボード」誌に語っている。「ジャズソングでこのアルバムを要約したいの。私は自分の解釈を楽しんでいるわ」。

Translation by Yoko Nagasaka

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