3位『キャロル』
Photo: Wilson Webb1950年代のマンハッタン、華やかに着飾ったケイト・ブランシェットは、地元出身の女性店員ルーニー・マーラから目を離すことができなくなる。やがて2人は、2つの挑戦的な心が織りなす、時代設定を超えた慟哭へと駆り立てられていく。このトッド・ヘインズ作品はあらゆる意味で完璧、特にブランシェットはおそらく地球上で最高の女優なのではないだろうか。
2位『スティーブ・ジョブス』
賛否両論を巻き起こすAppleの天才についての刺激的な作品は、絶賛のうちに公開されたのだが、観客動員が奮わなかったことで潮目が変わってしまう。アーロン・ソーキンの激しい脚本も、ダニー・ボイルの大胆な監督ぶりも、主演のマイケル・ファスベンダーのキャリア最高の演技も台無しにされてしまった。嫌な傾向ではあるが、商業的な失敗が芸術面での成功に泥を塗ってしまったのだ。素晴らしい作品である。
1位『スポットライト 世紀のスクープ』
Photo: Kerry Hayes2015年、トム・マッカーシーによるこの古風な調査報道への讃歌ほど、胸が詰まり、感嘆の気持ちで一杯になる作品はほかにはなかった。今年最高の俳優陣、マイケル・キートン、リーヴ・シュレイバー、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス、ジョン・スラッテリー、ブライアン・ダーシー・ジェームズにもおめでとうと申し上げたい。カトリック教会による児童虐待と隠蔽工作を暴いた、2002年のボストン・グローブ紙のスポットライト・チームを描いた作品。21世紀のジャーナリズムを描く映画が目指すべき、新しい金字塔を打ち立てた。