Illustration by Ryan Casey


3位 RP Boo『フィンガーズ、バンク・パッズ・アンド・シュー・プリンツ』


勢いを増すシカゴ・フットワークのシーンにおける最古参プロデューサーとされるRP Booは、並みのビートでは踊れないダンサーたちを満足させてきたトレードマーク・サウンドを踏襲するだけでは、もはや満足しない。そのビートは思わずつまづくほどスローなものもあれば、タガが外れたかのように早いものもある。ヴォーカルのループやアブストラクトなサンプルはとめどなく繰り返され、一種のトランス状態に達したかと思えば、突如として穏やかなエンディングが訪れる。また彼はアルバム内で、盟友ケニー・ロギンスへの追悼の意を2度にわたって表明している。(A.Battaglia)


2位 Jlin 『ダーク・エナジー』



今でこそ世界中のDJの関心を集めるフットワークだが、その熱狂はシカゴ南部で暮らすアフリカン・アメリカンたちのカオティックなライフスタイルを背景に誕生した。調子はずれでせわしないそのリズムには、常に死のイメージがつきまとっている。Jlinが生まれたシカゴから1時間ほどのところにあるインディアナ州ゲイリーは、黒人が大多数を占める廃れた工業都市だ。彼女が生み出すフットワークはシカゴを飛び越え、この世の中に閉塞感を感じている世界中の人々にアピールするものだ。(アルバムには『グアンアタナモ』という曲が収録されている)3連符のスネアロール、せわしなく鳴り響くシンセ、フィンガースナップ、ハンドクラップ、様々なエレクトロニック・パーカッションによるアンサンブルは、監視下から逃れようともがく姿を彷彿とさせる。『ザ・リング』のサマラ、そして『愛と憎しみの伝説』のジョーン・クロフォードの声のサンプルは、アルバムの不穏なムードに拍車をかける。サイモン・レイノルズはかつて、ドラムンベースのサブジャンル”ニューロファンク”を「不穏なエロス」と評したが、Jlinの音楽はエロティックで不穏なだけでなく、強烈な政治的意味合いを含んでいるのだ。(C.A.)


1位 ジャックÜ『スクリレックス・アンド・ディプロ・プレゼンツ:ジャックÜ』



このアルバムで、スクリレックスとディプロはあらゆることを成し遂げた。シングルのTop10入りは言わずもがな、数々のフェスティバルにヘッドライナーとして出演し、ラジオでは連日彼らの曲が流れ続け、古くからの仲間を再びスターダムへと押し上げ、外野のヤジを一蹴してみせた。ディプロをダンス・ミュージックの世界の住人だと認めない人々、スクリレックスをただの機材オタクと呼ぶ人々、そのすべてがこのローエンドの効いた、ピュアなポップアルバムの前にひれ伏した。2チェインズをゲストに迎えた『フィブリーズ』のヘヴィなサウンドはいかにもフェスティバル受けを狙った感があるが、ここではポップとレゲエとヒップホップが見事に同居している。アルーナジョージやカイザを迎えたトラックでは、よりエロティックでセクシーな一面を見せている。しかしハイライトは何と言っても、ジャスティン・ビーバーを迎えた『ウェア・アー・Ü・ナウ』だ。ガラージとR&Bを混ぜ合わせたようなこのトラックは、すべてのアンチ・ビリーバーたちを黙らせた。(A.C.)

Translation by Masaaki Yoshida

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