Illustration by Ryan Casey


6位 アルカ『ミュータント』


今年発表されたビョークの『ヴァルニキュラ』の9曲を彼女と共同プロデュースしたことで、ベネズエラ生まれロンドン育ちのエクスペリメンタル・プロデューサー、アルカの知名度は飛躍的に向上した。同じく今年発表された自身のセカンド・アルバム『ミュータント』は、容赦なく尖ったアルバムだ。ポスト・テクノロジー、資本主義崩壊後の社会がテーマだというこの作品では、時にざわめくように、時に激しく音を立てて鳴り響く様々な種類のドラム、遥か彼方で鳴り響く金切り声のようなサウンド、ダークで憂いを帯びたシンセなどが縦横無尽に飛び交う。徹底的に絶望感に満ちたサウンドからは、希望のかけらさえも感じ取ることはできない。聞き取り不可能な言葉の数々も含め、このアルバムは暗い時代を生きる人々が抱えるパラノイアと閉塞感を見事に描き出している。(A.C.)


5位 ジェイミーXX『イン・カラー』


「僕らは全員黒い服しか着ないんだ」ジェイミー・スミスは自身のグループ、ザ・エックスエックスについて、今年前半のインタビューでそう話していた。ジェイミーのデビュー・アルバム、『イン・カラー』は、トレードマークの繊細なサウンドを保ちつつも、「僕らは決して暗いタイプじゃない」という発言を裏付けるような、オープンでカラフルな作品だ。冒頭曲『ゴッシュ』の2分を過ぎたあたりで突如投入されるベース、『ストレンジャー・イン・ア・ルーム』における真夜中に頭をよぎる慕情など、ユニークなアレンジが光る今作で描かれるのは「静かな覚醒」ともいうべき世界観だ。スチールパンのループで幕を開け、夢見心地なメロディとウッドブロックが絡み合う『Obvs』で聴けるルビンの壺のようなサウンドは、アート・オブ・ノイズの『モーメンツ・イン・ラヴ』を思い起こさせる。すべての楽曲はまるでさざ波のように、めまぐるしく形を変えていく。その揺らめくサウンドは形を見せ始めたと思った途端、無数の水晶玉のようなまどろみの中に再び溶けていくのだ。(N.M.)


4位 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『ガーデン・オブ・デリート』


ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーこと、ダニエル・ロパティンによる7作目『ガーデン・オブ・デリート』は、彼にとってのグランジ・アルバムだ。コンテンポラリー・ポップ・ミュージック、ツアーを共に回ったナイン・インチ・ネイルズ、10代の苦悩、そしてブラック・メタル。このアルバムはそういったキーワードを網羅した、彼のこれまでのキャリアを包括するような作品だ。ロパティンは今作におけるアプローチを、ジョン・カーペンターの『ザ・シング』に例えている。「内側へと潜り込み、すべてを食い尽くし、母体をおぞましい姿へと変貌させるのさ」優れたSFホラームービーや、若者から大人への成長を描いた映画がそうであるように、ロパティンがこのアルバムで表現してみせたのは、本当の恐怖は内側に宿るという真実だ。(A.Beta)

Translation by Masaaki Yoshida

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