Illustration by Ryan Casey


12位 ハニー『ハンチ・ミュージック』


韓国出身のプロデューサー、Hun Choiが2009年から2010年にかけてリリースした12インチシングルの数々は、耳の早いリスナーの間で話題となった。しかしその後は制作が思うように進まず、音楽を諦めることを考えたこともあったという。幸いにも、ベルリンからアムステルダムに移住したことが彼の創作意欲に再度火を灯し、ハウス・ミュージックの枠を超えたデビューアルバム『ハンチ・ミュージック』の完成へとつながった。そのタイトルが物語るように、今作は既成概念にとらわれることなく、自身の直感のみに従いながら制作を進めていったという。規則的なビートこそハウス・ミュージックのセオリーを踏襲しているものの、今作にはアシッド・サウンドやテクノ、そしてジャズ(『ザ・ワールド』ではサン・ラがサンプリングされている)などのエッセンスが絡み合う、冒険心溢れる内容となっている。本能に従うことを選んだプロデューサーだけが辿り着くことができる、まさに至高のサイケデリアだ。(A.Beta)


11位 フォー・テット『モーニング/イヴニング』


フォー・テットの最新作は、それぞれ20分を超える表題トラック2曲のみという簡潔な内容となっている。『モーニング・サイド』では、インド人シンガーLata Mangeshkarのボーカルと浮遊感のあるシンセサウンドが絡み合い、その境界線は次第に曖昧なものになっていく。『イヴニング・サイド』の調和の取れたサウンドは、ブライアン・イーノの『エアポート』を思い起こさせるが、アンビエントとなることを拒むかのように絶え間なくリスナーを惹き付ける。高品質のヘッドフォンを使えば、考え抜かれた音の定位など、緻密なアレンジを最大限に楽しむことができるはずだ。(N.M)


10位 レヴォン・ヴィンセント『レヴォン・ヴィンセント』


過去13年間、クラバーやレコードコレクターの間でこそ認知されつつも、ニューヨーク出身(現在はベルリン在住)のハウス・ミュージック・プロデューサー、レヴォン・ヴィンセントの音楽は一切デジタル化されておらず、一般の人々には入手しづらい状況が続いていた。しかし今年1月に公開された『アンチ・コーポレート・ミュージック」は、瞬く間にアンダーグラウンド・アンセムとなり、彼はもはや謎めいた存在ではなくなった。今やテクノやディープハウスは何十億ドルという巨大市場となったが、ヴィンセントはダンス・ミュージックにおけるパンクの精神を見失っていない。フリーダウンロード音源として発表され、その後4枚組のアナログ盤としてリリースされたレヴォン・ヴィンセントのデビュー・アルバムは、攻撃的でありつつも温もりをたたえている。『ジャンキーズ・アロング・ヘルマン・シュトラーセ』を含む、いくつかの曲名は以前飼っていた猫の名前にちなんでいるという。クラブよりもウェアハウスがよく似合うこのレコードは、フロアを歓喜の渦に巻き込もうとするものではなく、レーザービームを避けて踊る人々のためにある。(A.Beta)

Translation by Masaaki Yoshida

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