ジョン・メイヤーとグレイトフル・デッドのボブ・ウィアーが語る、来たるべき「デッド&カンパニーツアー」

「このバンドに対するジョンの熱意は素晴らしいよ」。ボブはデッド&カンパニーのバンドメイトであるジョンをこう話す。Danny Clinch

2年ほど前、ジョン・メイヤーはソロアルバムをレコーディングし、グレイトフル・デッドのサウンドを導き出そうとしていた。

「あの頃の僕を見るべきだったよ」とジョンは振り返る。「軽やかなドラムのビートを出そうとドラムの後ろに座ったかと思ったら、それにかぶせて歌ったりしていたんだ。あの5人以外にはあの音楽はできないし、ましてや一人でやるのは不可能だ。彼らと同じバイブはマルチトラックでは出せない。彼らの音楽に対する尊敬の念、そして賞賛の気持ちが、ああいう音楽を作ろうとしていた僕を諦めの境地のような状態に至らせ、「僕は僕だ」っていう事実を受け入れるように導いてくれたんだと思う」

しかし、今の彼はこの問題を解決した。グレイトフル・デッドに加わったのである。10月29日、ニューヨーク州アルバニーから彼はデッド&カンパニーのフロントマンを務めた。このバンドにはギタリストのボブ・ウィアー、ドラマーのミッキー・ハートとビル・クルーツマン、ベーシストのオテイル・バーブリッジ、キーボーディストのジェフ・キメンティが参加している。11月7日にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたコンサートにはアメリカン・エキスプレスを通じて1万人が招待された。この公演はブレット・ラトナーが監督し、オンラインでライブ配信された。

グレイトフル・デッドがメイヤーとツアーについて話し始めたのは1月だ。しかし彼らはフィッシュのトレイ・アナスタシオを加えて行われ、大成功を収めたライブ「Fare Thee Well」のサンタクララ、カリフォルニア、シカゴでの公演を終えるまでブッキングを待っていた。「ボブが最後に“なあ、余韻を楽しもう”と書いてきたのを覚えているよ」。カリフォルニアのサンラフェルにある ウィアーのTRIスタジオでのリハーサルで、ジョンはこう語った。「本当に正直なところ、デッド&カンパニーの日々はグループを作ったことから始まったんだ。このエネルギーに満ちた、サスペンスフルな日々は計画しようとしたわけではないんだ。発生したから作り上げたんだよ」。

春以降、メイヤーは彼の言うところの“グレイトフル・デッド大学”に出席し続けた。「ひとりきりになり、彼らの歌を練習した。最初にしなくてはならないのは、やり方で曲を予測できるようになるくらい、十分に聞くことだ」と彼は語る。「その曲独特の流れを理解しなくてはいけない。それからギターを持ち、それがフィンガーボードのどこに位置するのか探し出す。そしてもう少し深く入り込んでいく。どの曲も重層的なものを持っているんだ。それが真にわかる時点に至るまでに、その曲がどう展開するのか、ギターはどうアプローチするのか、さらにこの曲がどういう倫理観を持っているのかも僕は理解するんだ」

現在彼らはリハーサル中であり、メイヤーはこれまでの努力が報われるのを目にしている。「ソロで演奏するのにこれ以上いい音楽はない。これまでたくさんやってきたから、そう言えるんだ。グレイトフル・デッドの曲は演奏するのがとても楽しい。そして一部の曲は楽しいのと同じくらい、大変でもあるけれど。その曲の構成が実際とても複雑になっていることを忘れるほど楽しかったとしても、その難しさの一部がなくなることはない」

Translation by Yoko Nagasaka

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