『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』今年最大の話題作の裏側に迫る(前編):J.Jエイブラムス、出演者が語る制作秘話

彼はハン・ソロに対する自分の愛情を軽く扱うようにするのに何年も費やした。彼が初めてハン・ソロを演じたのは、60年代と70年代始めに2つのスタジオとの契約がうまくいかなかった後、何年もハリウッドで役をもらえずに過ごし、やりたくない役をやらずにすむように大工の仕事を始めた頃だった。ネット上には出どころを突き止めるのが難しい彼の言葉の引用が流れた。それはフォードがハン・ソロよりも「大きくなった」と主張している、というものだった。しかしフォードはそのようなことは1度も言ったことがないと否定する(1997年に彼はハン・ソロを「今の僕にとってはとても薄いキャラクター」と評している)。「それに過去に僕がこのキャラクターについて何を言ったか調査することに僕はなんの価値も見出さない」と彼は言う。

フォードはジェダイの終焉とともに、ソロが死ぬことを望んでいた。「このキャラクターの将来の可能性を認めるだけの想像力が僕にはなかった」と彼は言う。「僕はこのシリーズを3作だけやる予定だった。だからこのキャラクターをベース音、ちょっとした重厚な雰囲気を加えるために使いたかった。冗談好きの皮肉屋として続けるのは違うと思った。おそらく……」。彼は言葉を止めた。「しかしもし彼らが当時この作品を作ったとしたら、僕はやろうとはしなかっただろう。この経験は価値あるものだと思っている」。(これはおそらく、ハミルとフィッシャーが、次の「スター・ウォーズ」シリーズ作品を監督しているライアン・ジョンソンとの話の中で触れた、ソロの運命に関する暗く重要な意味のことだろう。しかしフォードは今後の映画については一言も話さなかった。)

フォードが撮影を始めてすぐ、ミレニアム・ファルコン—ハン・ソロの宇宙船だ—のドアが彼の上に倒れ、床に打ち付けられた彼は脚をひどく骨折してしまった。「皮肉なことだよ」と彼は言う。当然のことだが、これで彼はしばらく休むことになった。

「彼の足首は90度に曲がっていた」とエイブラムスは振り返る。エイブラムスは彼にとってのスターであるフォードの上から扉をどかそうとして、彼自身も椎骨を骨折しキャストやクルーから何か月か離れて過ごすことになった。制作は一時中断—これは脚本を書き直すための貴重な時間になった—そして戻って来たときのフォードは、どうやったのか、カメラの前で再び全速力で走れるようになっていた。「彼は最もタフにして素晴らしい才能を持つ人間だ」とエイブラムスはいう。「災害にあったとき、横にいてくれたら素晴らしいと思える存在は彼以外にいない」。

Translation by Yoko Nagasaka

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