サウンドガーデン クリス・コーネル:知られざるフォークへの情熱、ニール・ヤングへの共感

Photo: Marc Broussely/Redferns/Getty

「30年続けているバンドでツアーに出れば、ノスタルジックな気分にもなるさ」ー サウンドガーデンのリーダー、バンドと自身の現在について語る

「このケースに限って言えば、モア・イズ・モアだと思うね」シアトルの重鎮バンド、サウンドガーデンのクリス・コーネルは、
1990年のソロデビューアルバム『ユーフォリア・モーニング』の再発、そしてアコースティック色の強い最新作『ハイアー・トゥルース』についてこのように語っている。後者は2011年のワンマンショー『コーネルズ・ソングブック・ツアー』からインスパイアされたアルバムだ。同ツアーについて彼はこう語る。「25年間のキャリアを通じて、俺は様々なバンドで曲を書いてきた。それをギター1本と声だけで表現することで、シンガーソングライターとしての自分のアイデンティティを発見したんだよ」コーネルは自身のソングブックを手に、今秋再びツアーに出る。その一方で、サウンドガーデンの新作にもすでに着手しているという。「先週の半分は、スタジオで過ごしてデモを作った。4日後にはメンバーで集まって、1週間スタジオにこもる予定だよ。終わった頃にはたくさんの曲が生まれているはずさ。」


ー新作の冒頭曲「ニアリー・フォーガット・マイ・ブロークン・ハート」のオープニングではマンドリンを弾いていますね。あまり語られていませんが、フォークからの影響というのはあなたにとって大きいのでしょうか?

1970年代当時はフォークが嫌いだった。でも後になってトム・ウェイツやジム・クローチの音楽に出会って、特にキャット・スティーヴンスにはすごくのめり込んだよ。あとブラック・クロウズのロビンソン兄弟の片方がニック・ドレイクのことを教えてくれた。アナログのボックスセットを持ってて、最初は全然好きじゃなかったけど、『ピンク・ムーン』(1972年作)を聴いた時には衝撃を受けたよ。彼のギターとソングライティングは芸術の域だと思う。

ソングブック・ツアーでサウンドガーデンの曲を一人で演奏してみていかがでしたか?バンドでのヘヴィな演奏が無駄に思えたりすることはありましたか?

”アウトシャインド”にはそういう部分があるね。曲の中盤のエレキギターソロ、あれは俺が書いたんだ。アコースティックギターであのフレーズを弾くと、レッド・ツェッペリンの曲のように聞こえて自分でも驚いた。そのせいか、ヴォーカルもダーティなブルースっぽくなった。

ーレッド・ツェッペリンとサウンドガーデンの比較にはうんざりされているかもしれませんが、『ハイアー・トゥルース』で聴けるフォークギターとあなたのロック色の強いヴォーカルのコントラストから、個人的には『レッド・ツェッペリン・Ⅲ』との接点を感じました。

ギターのアレンジと俺の声のレンジのコンビネーションがそう思わせるのかもしれないね。アメリカ人である以上、ブリティッシュ・フォークの一番深い部分にはたどり着けないだろうとは感じている。でも自分の書いた曲がツェッペリン、ビートルズ、ピンク・フロイド、キリング・ジョークといったバンドからの影響を見せていると感じたときは、抗わずに直感に従うようにしているんだ。

TRANSLATION BY MASAAKI YOSHIDA

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