コーダ(最終楽章)リマスター/ デラックス・エディション

 1982年、ジョン・ボーナムの死から2年後に発表された『コーダ(最終楽章)』。残されたメンバーによる同アルバムは、あまりいい出来とは言えなかった。収録されたなかの3曲は、『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』からの未発表曲。名曲「ウィアー・ゴナ・グルーヴ」とそれらが同じ作品に入っているのは、お世辞にも良い構成ではない。『コーダ』はそのお粗末さ故に、70年代には最も斬新だったハードロックバンドが過去のものになったと感じられた作品だった。

 そして30年が経ち、ジミー・ペイジの手によるデラックス・エディションのリイシューで、『コーダ』は思いもよらず彼らの偉業を飾るにふさわしい作品となった。ボーナストラック15曲を収録した本作には、1969年のアルバム『レッド・ツェッペリン』のアウトテイク「ベイビー・カム・オン・ホーム」や、1970年のシングル「移民の歌」のBサイド「ヘイ・ヘイ・ホワット・キャン・アイ・ドゥ」なども入っている。しかし、ペイジはさらに深く掘り起こす。『レッド・ツェッペリン』で未使用だった「シュガー・ママ」は、『レッド・ツェッペリンII』の激情を暗示。「イフ・イット・キープス・オン・レイニング」は、『レッド・ツェッペリンIV』収録の「レヴィー・ブレイクス」のオルタナ・テイクで、それほど大胆ではないものの、ロバート・プラントのヴォーカルのなかにあるブルース的な雰囲気がより感じられる。これら2曲は、彼らがアメリカンブルースとケルティックフォークを探求しようと決心していたこともうかがわせる。そんな決意は、1975年の大作『フィジカル・グラフィティ』に結実するのだった。

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