『ザ・ピンクプリント』はどの曲をとっても本当に素晴らしく、まさにミナージュの最高傑作と言える。本作は彼女の、超新星のようなスターのオーラ、ヒップ・ホップを改革しようとする熱意、あふれんばかりの才能や官能的なボディを祝福する作品と言えよう。

 ジェイ・Zのアルバム『ザ・ブループリント』を思い起こさせるタイトルが示すように、本質的にミナージュは“レディー・ガガ”というよりも“ジェイ・Z”である。「フィーリング・マイセルフ」で、自らの仮面を外すことについて語る彼女。この曲では、自我をむき出しにして、ビヨンセに真っ向から戦いを挑んでいる。彼女が明らかにする現実は、純粋に魅力的だ。

「アナコンダ」のようなバカバカしいほどにダーティな曲もあるが、骨太で内省的な楽曲も収録されている。「オール・シングス・ゴー」(“あなたが私にプロポーズしたのは10年前/私はうつむいて、うん、いいわよと答えた”)は、元恋人に対するスローで情熱的な告白の歌。ミナージュの歌詞は熱く(「フォー・ドア・アヴェンタドール」でのノトーリアス・B.I.G.めいたフロウをチェックしてほしい)、セックスを歌ったポップ(「ザ・ナイト・イズ・スティル・ヤング」)や荒々しいゴス調R&Bバラード(「ザ・クライング・ゲーム」)も楽しめる。マイク・ウィル・メイド・イット、ヒット・ボーイといったプロデューサー陣による悪魔のように熱いビートに乗せて、マイクに触れるごとに火を噴き、魂を吐き出すミナージュ。これは、ラップの女王が今持っているすべてを詰め込んだアルバムだ。彼女が王座を手にするのを目撃できた我々は幸運かもしれない。

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