飾り気のないオルタナティヴ・カントリーから出発、この20年間でエクスペリメンタル・フォーク&アート・ロックの頂点へと到達したウィルコ。その過程は、レア・トラックを収録した本作を聴けばわかる。ほとんどの楽曲があまりにも生々しいため、“貴重品保管室を開ける”というより“ジェフ・トゥイーディのベッドの下を探しまわっている”感覚に近い。95年の「Passenger Side」のようなハイパー・ローファイなデモ曲では、後の作品で開花する、“皮肉たっぷりな叙情主義”の萌芽が伺える。偉大なバンドの総合的なドキュメント作品だ。

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