ガールズ・イン・ピースタイム・ウォント・トゥ・ダンス

そろそろバンド結成20年目を迎えるグラスゴー・シーンの重要バンド、ベル&セバスチャン。昨年、フロントマンのスチュアート・マードックが映画監督としてデビューを飾って話題を呼んだが、その映画『God Help The Girl』は、問題を抱えた少女が仲間と出会ってバンドを組む、という青春ミュージカルだった。そんな他愛のないストーリーからもスチュワートの音楽への尽きることのない愛とロマンを感じさせるが、それはこの新作でも同じこと。“踊りたくなるのは平和だから”というタイトルとシニカルなアートワークがベルセバの“ポップ宣言”を伝えている。

今回、バンドがプロデューサーに招いたのは、アニマル・コレクティヴやディアハンターなどを手がけたベン・アレンで、アルバムはアトランタのメイズ・スタジオでレコーディングされた。スチュワートが自分の過去について歌い、「これまでで最もオープンな曲」と語る「だから僕は歌う」から始まる本作は、辛いこともあった過去を受け入れ、未来に向かって歩み出そうとするスチュワートと仲間たちの軽やかな一歩を感じさせるアルバムだ。サウンド面で印象的なのは、「ザ・パーティー・ライン」「シルヴィア・プラス」「本日のシナリオ」など、キラキラしたキーボードの音色をちりばめたダンサブルなナンバーの数々。初期の俯き加減のナイーヴな若者は、今ではダンスフロアで伸び伸びと踊っている。もちろん、彼ららしい繊細で美しい曲もあるけれど、フックの効いたメロディや軽快なビートが生み出す幸福感がアルバムに輝きを与えている。2月には来日も決まり、あとは『God Help The Girl』が日本でも公開されれば問題なし!

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