24カラット・ゴールド 〜ソングズ・フロム・ザ・ヴォールト

ニックスが1969年から1995年の間に書いた楽曲を、ナッシュヴィルのセッション・プロたちと新たにレコーディングした作品。タイトルのフロム・ザ・ヴォールト(貯蔵所からの意)が誤解を呼ぶかもしれないが、決して古臭さはないし、十分刺激的だ。つまるところ、ナッシュヴィルの熟練ミュージシャンたちだって、何十年もの間フリートウッド・マックの楽曲を臆面もなくコピーしてきたくらいなのだから。もともとカリフォルニアに住んでいたスティール・ギター奏者ダン・ダグモアが架け橋となって、ローレル・キャニオンのベテラン・ギタリストであるワディ・ワクテルとの間をとりもち、長年彼女のバックシンガーを務めているシャロン・セラニやローリー・ニックスらとともに、ニックスは古い曲に魔法をかけ、新鮮なサウンドに仕上げた。

すべての楽曲が最高というわけではない。声にも、これまで経てきた年月が現れている。しかし、彼女はそれさえも上手く利用する。「メイベル・ノーマンド」はサイレント映画のスターであり、コカイン常習者としても有名な女優メイベル・ノーマンドに捧げられた楽曲(どういうわけかニックスは彼女に心酔している)。ベストは三重のハーモニーからなる「ベル・フルール」。2番目は「ザ・ディーラー」で、これはカジノの比喩を使いながら、多くの楽曲同様、フリートウッド・マックのギタリストであったリンジー・バッキンガムのことを示唆している(はず)。なかでも驚きなのは、ディキシーランドのバンドがやりそうな“売春宿ソング”「キャットハウス・ブルース」。ニックスはこの曲で歌う。“新しい赤色のベルベット靴がいるの”、そして“夢追い人は今でも私のことを空想してるわ”。ごもっとも。

RECOMMENDEDおすすめの記事


MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE