今回プリンスがリリースした2枚のアルバムはなんと、80年代に自身の代表作を作り、1996年に恨みを残したままそのもとを去ったワーナー・ブラザーズから。まず『アート・オフィシャル・エイジ』は、傑作アルバム『パープル・レイン』時代に得た“紫色の栄光”に返り咲こうと試みた作品。『プレクトラムエレクトラム』は全員女性のバンド、サードアイガールと作り上げた実験的なファンク・ロック。読者はどちらが好みだろうか?

『アート・オフィシャル・エイジ』に収録されたゴージャスなシンセ・ファンク「クラウズ」では、“彼女がシャワーで歌っているのを耳にしたら/花を一輪手に入れよう/それを彼女の背中にこすりつけるんだ”とプリンスがアドバイスする。サイケデリックな雰囲気に満ちたこのアルバムで、プリンスはまるで閨房学の先生のようだ。「ファンクンロール」と「ユー・ノウ」を聴くと、思わず体を揺り動かさずにいられない。映画『プリンス/パープル・レイン』のヒロイン、アポロニアにインスピレーションを受けたとされるソウル・バラード「ディス・クッド・ビー・アス」は、バイクにまたがった彼女の格好良さにふさわしい一曲だ。

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