ブレンダン・オブライエンをプロデューサーに迎えて制作された4枚目のアルバム。曲作りの大半は、2007年に頭部に外傷を負ったために自宅で静養中だったブレント・ハインズによるもの。その新たなサウンドは13分間のプログレ風大作「最後の伯爵」に集約されており、感情の激発が絶えず続き、驚いたことにメロディックなヴォーカルも顔を覗かせる。苦悩と混濁した思考がブルータルなメタルと高揚感のあるアート・ロックの狭間を飛び交う。「精髄」は、炸裂するハードコアにドリーミーなシンセにうねるヴォーカル。タイトル曲は悪魔との戦いで、トーキング・モジュレーター風のエフェクトに舞い上がるようなポップ・メタル風ヴォーカル。ハインズによるバンジョーも聴かれる。前3作の“火”“水”“土”に続き、本作のテーマは“エーテル”。ゆえに、魂が宇宙をさまよう。4つのパートから成る「皇帝」は、ロシアのラスプーチンにまつわる物語で、21世紀のプログレ・メタルの名曲だ。そのコラージュ・メタルにさらなる緊張感を与え、マストドンはまったく新しい可能性を開いたのだ。

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