コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー

ジャック・ホワイト(ヴォーカル/ギター)は音楽でストーリーを語るのが上手い。ホワイト・ストライプスで活躍する彼のサイド・バンドがラカンターズ(“話し上手”という意味)という名前なのは偶然ではないだろう。05年にジャックが加入したこのバンドは、ストーリーテラーの棲家と言うのが適切だ。孤高の彼がやっと居場所を見つけたのである。ブレンダン・ベンソン(ヴォーカル/ギター)とジャックが、レッド・ツェッペリン、ザ・フー、バッド・フィンガーについて語り合うのと同じように、ステージ上ではギター・リフを交互に出し合い、ストーリーテリングを繰り返していく。 「プル・ディス・ブランケット・オフ」ではジャックがハーモニーでブレンダンに呼びかけ、ガレージっぽい「サルート・ユア・ソリューション」ではブレンダンがジャックに吠える。「コンソーラー・オブ・ザ・ロンリー」では、ふたりの個性が見事に調和するのだ。爆発するギター、強力なリズム。この曲の、そしてアルバムのタイトルはアメリカの首都ワシントンD.C.の郵便局の建物から取っている。愛のメッセンジャー……。それが郵便局員の仕事だ。人と人を繋ぐこと。それはこの作品の目指すものでもある。

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