ザ・オッド・フューチャー・テープ Vol.2

オッド・フューチャー・ウルフ・ギャング・キル・ゼム・オールといえば、次世代のラップ・スター、インディペンデントの過激派、そして扇動者というところか。だが彼らは過激でも扇動的でもショッキングですらない。生理的な怒りは長いことポップ・ミュージックの、そしてその容赦ない女性排除の機動力であり続けた。“あんたの膝を叩いてくれ/俺のナニは自分じゃしゃぶれない”とは、最もバカバカしい陳腐な人の怒らせ方だ。その一方で本作は限界ギリギリの弾けるエネルギーを持っている。リーダーのタイラー・ザ・クリエイターは創造力豊かなサウンドスケープを作り、そのビートはクランクから90年代のインディ・ラップまで、あらゆるものを取り込んでいる。

だがクギづけにされるのは、全編に漂う不協和音だ。奇妙なヴォーカルが飛び交い、ブツブツと語っている。そしてタイラーはシャープかつウィットに富んだラップを披露する。ホジー・ビーツは最高のパンチラインで場をさらう。またスティーヴィー・ワンダー風の「ホワイト」でソロを担った新しいR&Bスター、フランク・オーシャンもいる。

オッド・フューチャーはウータン・クランのような胸ときめくローカルのスターであり、切れ者の黒人ヒップスターでもある。その世界観は陽に焼けた南カリフォルニアの一角に根ざしたところに広がっている。そんな彼らの美学は、使い古された言葉をひっくり返し、まったく新しいものに、そして異形なものにするということだ。

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