ザ・ローリング・ストーンズ『GRRRライヴ!』 結成50周年ツアーと夢の共演を徹底解説

ザ・ローリング・ストーンズ(Photo by Getty Images)

 
本日2月14日は「ザ・ローリング・ストーンズの日」(1990年の同日、初来日公演を東京ドームで行ったことから制定)。それに先駆けて、結成50周年ツアーの模様を収めた映像&音源作品『GRRRライヴ!』が先日リリースされた。本作の見どころを荒野政寿(シンコーミュージック)が解説する。

1963年のデビュー・シングル「カム・オン」をリリースしてから、今年で60年の節目を迎えるザ・ローリング・ストーンズ。そんな記念すべき年に、早速強力なライヴ作品『GRRRライヴ!』が発売された。本作はバンド結成50周年を記念して2012年~13年に行なわれた〈50&カウンティング・ツアー〉から、2012年12月15日、ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターでの公演を収録したもの。DVD+2CD、Blu-ray+2CD、2CDのみの3フォーマットで日本発売されたが、本作の魅力は映像抜きには語れない。



2010年代に入ってからのストーンズは、しばらく過去の総決算モードに入っていた。2010年に『メイン・ストリートのならず者』の未発表曲入りリマスター盤をリリースしたほか、1972年のライヴ映像を収めたドキュメンタリー『レディース&ジェントルメン』を初めて公式にソフト化。続いて2011年には1978年のライヴ映像を『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス'78』としてお蔵出し。さらにオフィシャル海賊版シリーズのデジタルダウンロード販売も開始した。そして2012年にはブレット・モーゲン監督(3月に『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』公開が控えている)によるドキュメンタリー映画『クロスファイア・ハリケーン』が〈50&カウンティング・ツアー〉開幕前の10月に公開され、注目を集めている。

『ア・ビガー・バン』(2005年)以降、スタジオ録音の“新曲”を渇望していたファンの声に応えるべく、2012年11月に発売された新しいベスト・アルバム『GRRR!』には2つの強力な新曲「ドゥーム・アンド・グルーム」と「ワン・モア・ショット」が収録された。これら2曲も披露して現役バンドとしての最新形を見せつけたツアーの模様を収めたのが、『GRRRライヴ!』というわけだ。

トレードマークの巨大な唇をステージ化したセットも凄いが、さすがアニバーサリー・ツアーとあって、新旧取り混ぜたオールタイムベスト的なセットリストに思わず唸る。いきなり「一人ぼっちの世界」「ラスト・タイム」と60年代のヒット曲をたたみかけるオープニングは、ガレージ・パンク勢にも絶大な影響を与えた“ビート・バンドとしてのストーンズ”の威力を思い出させるもの。独特なリズム感覚や、“抜き”の妙技を指摘される機会が多いチャーリー・ワッツだが、アグレッシブなフィルインでも非凡なひらめきを見せるドラマーだった。




いかにもキース・リチャーズらしいイントロの入りにしびれる「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」、ロニー・ウッドのエレクトリック・シタールが大活躍する「黒くぬれ!」に続いて、豪華ゲストのひとり目はレディー・ガガ! 全力で場をかっさらおうとする激烈パフォーマンスで、早くも前半の見せ場を生んでいる。その直後に、「ワイルド・ホース」でクールダウンする技もベテランならでは。チャック・リーヴェルの情感豊かなキーボード、バーナード・ファウラー&リサ・フィッシャーのバック・ヴォーカルのサポートに支えられ、ミック・ジャガーが切々と歌い上げる。

 
 
 

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