モンティ・パイソン人生狂騒曲 サントラ(83年)

60年代後半に登場し、シュールなギャグで人気を集めたイギリスのコメディ集団、モンティ・パイソン。彼らのテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』がアメリカで放映開始になったのは74年のこと――そのため、多くのアメリカ人にとって、モンティ・パイソンの初体験は彼らのコメディ・アルバムだった。 「僕らをアメリカで最初に発見してくれたのは、ハッパ吸いながらFMラジオを聴いてるロック・リスナーだったんだ」と語るのはメンバーのマイケル・ペイリン。ほかの国の人たちからすると奇妙に聞こえるかもしれないけど、これはウソじゃない。あのころアメリカの深夜ラジオでは、キング・クリムゾンとピンク・フロイドの曲の間にまぎれて、モンティ・パイソンの曲が流れていたのだ。 スタジオ録音されたパイソンのレコードは、プログレ・バンド級にオーバーダブやステレオ効果音が駆使されている。「ごめんよ、レコードを引っかいちゃったよ!」なんていう叫び声が縦横無尽に飛び交う作りだから、ヘッドフォンで聴くといっそう楽しめるはず。 70年代半ば以降、パイソンは映画界に活動の場を移し、オリジナル・アルバムはリリースしなくなってしまった。今回再発されたCDのうち、『ライフ・オブ・ブライアン』と『人生狂騒曲』はいわゆる通常のサントラ盤。だけど、最高のオーディオ・トリップ体験をしたいなら、おススメは、やはり70年代初期のアルバム。特に『プリヴィアス・レコード』は、シュールな笑いが、極上のオーストラリア・ワインのようにノンストップでほとばしる最高傑作だ。

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