K-POPファンが一致団結しアクション、白人至上主義のハッシュタグを乗っ取り

K-POPファンの努力が功を奏した結果、白人至上主義を掲げる「#WhiteLivesMatter」のハッシュタグはみごと埋もれる結果となった。(Photo by Michael Buckner/Rolling Stone/Shutterstock)

フロイドさんの事件をきっかけに世界中で激化する抗議デモ。各国様々な形で、人種差別へのアクションが行われているが、K-POPファンたちもまた彼らのやり方で、一致団結し声をあげた。Black Lives Matterに対し、白人至上主義を掲げる「#WhiteLivesMatter」のハッシュタグをK-POPファンたちが乗っ取ったのだ。

先日、K-POPファンがお気に入りのアーティストの動画、画像、ミームなどを「#WhiteLivesMatter」というハッシュタグをつけて大量にTwitterに投稿した。本来の意図とは異なる目的でこのハッシュタグがトレンドランキングに急浮上したことで少なからず混乱が生じたようだ。

K-POPファンの連帯感が発揮された今回の出来事により、昨今のブラック・ライブス・マター(BLM)運動を快く思わない白人至上主義運動の主催者がトレンドワード入りさせようとした「WhiteLivesMatter(白人の命は大切)」のハッシュタグはみごとに埋もれてしまった。主催者の目論見とは裏腹に、K-POPファンはこのハッシュタグを大好きなアイドルグループの宣伝としてのみならず、人種差別反対を掲げる団体のリンクやメッセージを貼り付けるのに活用した。

トレンドワードランキング占拠という4日のアイデアは、別のよく似た行動に端を発している。先週末、K-POPファンは米南部テキサス州のダラス警察署の“iWatch Dallas”アプリ宛にお気に入りのアーティストの動画や写真を大量に送りこんだ。ダラス警察署は「抗議デモ中の違法行為」を監視するために同アプリを使用していたと主張した一方、実際にはデモ参加者の“密告”手段としてアプリを使用していたと地元住民が苦情を訴えた。抗議デモの動画の投稿を呼びかけるダラス警察に対し、K-POPファンは推しアーティストのパフォーマンス動画などを送って対抗した。

「白人至上主義的なハッシュタグを妨害しようというアイデアのインスピレーションは、ダラス警察署アプリでした」とTwitterユーザーのLovely Doyaさん(@lovelydoya)は語る。17歳のLovely DoyaさんはBTS(防弾少年団)とONEUSのファンで、カリフォルニア州で暮らしている。「抗議デモの参加者を守るためにやりました。正義のために闘おうと集まっているのに、逮捕されるのはおかしいってK-POPファンみんなの意見が一致したんです。ダラスの件が成功したので、自分たちでハッシュタグを乗っ取り、憎しみに満ちた白人至上主義的なツイートを埋められると思ったんです」。

同じくカリフォルニア出身で、BTSとMONSTA Xファンの20歳のサラ・ヒメネスさんにとって今回のソーシャルメディアの乗っ取りは、ポジティブな動機のためにK-POPコミュニティが力を合わせる一方、アイドルオタクにつきまとうステレオタイプ的なイメージに異を唱える方法でもあった。

「K-POPファンは、自分が好きなアイドルの画像を見てもらいたいから馬鹿みたいなパーティトレンドをはじめるとか、ハッシュタグの意味さえわかっていないのに、ただ再生件数を伸ばしたいからこんなことをするんだと時々思われがちですが、それは誤解です」とヒメネスさんは言う。「気に入らないトレンドを拡散しようとするハッシュタグがあれば、私たちは協力し、あえてスパム攻撃をしかけてソーシャルメディアを乗っ取る場合もあります。まさに今回のようにね」と語った。

K-POPファンといえば、お気に入りのアイドルグループを徹底して守ることで有名だが、ここ最近の発信方法は一貫しており、オンライン上でのファンコミュニティの模範となっているのだ。

「一部のメジャーなアカウントもK-POPアイドルに関する投稿をやめ、代わりにBLM運動について投稿しはじめました」とヒメネスさんは語る。「こうしたアカウントは、すでに影響力のあるプラットフォームを活用して私たちが寄付できる団体のリンクを貼ったり、抗議者を支援するためのスレッドを作成したりしました」。

「さらに、K-POPコミュニティはツイートでアイドル名の検閲まで始めました。いつものように、(アイドル関連のハッシュタグが)うっかりトレンドワードになってしまわないように」とヒメネスさんは言った。「私たちは(アイドルよりも)BLMのハッシュタグにトップであり続けてほしかったから」。

Lovely Doyaさん(本名は明らかにしなかったが、メキシコ系アメリカ人であると告白)にとって4日の「#WhiteLivesMatter」の乗っ取りは(同様の「#WhiteOutWednesday」というハッシュタグも瞬く間に占拠された)、人種差別的な意図のハッシュタグを埋めることに貢献した何人もの人々にとってそうであったようにごく自然な行為だった。

「K-POPファンのアプローチはとてもユニークで興味深いものですが、これが私たちなりのサポート方法なんです。だって、私たちはソーシャルメディアが大得意だし、トレンド入りさせるためのノウハウもあるから」とLovely Doyaさんは言う。「サポートを表明するのは大切です。なぜなら、今回の運動は人種差別的な警官によって失われたすべての罪のない命に正義をもたらすためのものだから。これは私をはじめ、無数のK-POPファンが信じていることです。だって、私たちはみんな有色人種だから。結局のところ、K-POPマニアである前に私たちは人間なんです」。

・フロイドさん暴行死、世界各国で連帯する抗議デモ(写真ギャラリー)

Translated by Shoko Natori

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