YouTubeのCEOが我が子にYouTube閲覧を禁じる理由

最新インタビューで、自分の子供にYouTube閲覧を禁じていると語ったYouTubeのスーザン・ウォシッキーCEO(Photo by Francois G. Durand/Getty Images)

小さな子供を持つ親なら、コンテンツフィルターをかけていないYouTubeは(時にはフィルターをかけていても)肥溜めと大して変わらないことは知っているだろう。

例えば、エルモが「幸せなら手をたたこう」を歌う動画をクリックすると、たちまちアルゴリズムが反応して、マセドニアのアニメスタジオが制作した同じ歌のCGバージョンの動画を勧めてくる。その次には、同じスタジオが制作した別の動画が流れ、その次には非公式エルモの首を非公式ペッパ・ピッグが泡のように弾き飛ばす動画が流れる。子供向けの環境とはとても言えないが、親たちの話によれば、YouTube Kidsも似たような状況だ。

だから、よりにもよってYouTubeのスーザン・ウォシッキーCEOが『60 Minutes』とのインタビューで、自分の子供にはYouTubeを見せていないと発言するのを聞いても、さして驚きはしなかった。YouTube Kidsは見てもいいことにしているが、「閲覧する時間は制限しています」と、5人の子供を持つウォシッキー氏は『60 Minutes』のレスリー・スタール氏とのインタビューで語った。「何事も限度を超えるのはよくないと思います」

2014年にウォシッキー氏がCEOに就任してからというもの、YouTubeは子供にふさわしい環境を提供していないとして、激しい批判の矢面に立たされている。2017年には、子供を標的にした暴力的な有害コンテンツを、アルゴリズムが勝手に勧めるのを見て見ぬふりをしている、と非難された。一見子供にやさしいように見えるYouTube Kidsは、機械学習アルゴリズムを用いて13歳未満の子供にふさわしいコンテンツのみを勧めるようにしていると同社は謳っているが、車に轢かれるミッキー・マウスや『パウ・パトロール』のキャラクターが自殺する動画など、暴力的な有害コンテンツが含まれているとしてこれまた非難されている。

今年初めには、モモというグロテスクなキャラクターの動画が子供たちに自傷や自殺を促すという都市伝説が広まった。噂自体は大したものではなかったが、YouTubeが子供たちに有害だと度々ささやかれていたこともあり、Facebookの育児グループはこの話題で持ち切りとなった。

YouTubeには、別の意味でも幼い子供たちを餌食にしているという批判がある。連邦取引委員会(FTC)は9月、同プラットフォームが保護者の同意なく子供のデータを収集していたとして、児童オンライン保護法(COPPA)違反で1億7000万ドルの罰金を科した。今年初めには、小児性愛者がYouTubeを利用して子供たちを誘い込んでいるという報道を受け、数百万本の動画のコメント書き込みを無効にするよう強いられた。

こうした主張は不穏極まりない。データからも、大多数のアメリカ人の子供たちがYouTubeを使っている、あるいは使ったことがあると分かっているのだからなおさらだ。確かに、子供向けのエンターテイメントキャラクターの多くはYouTubeでファンを大勢増やした。子供たちの人気者Blippiのコンテンツは乳幼児を対象にしているが、チャンネル登録者は650万人を超える。2018年にPew Research社が行ったある調査によれば、11歳未満の子供を持つ親の81%がアプリで子供に動画を見せており、34%がYouTubeを日常的に見せていると回答した。さらにそのうち61%は、子供にふさわしくないコンテンツを見つけたことがあるとも回答している(この調査では、子供に見せていたのがYouTubeか、YouTube Kidsか、それとも両方か、という点については特定していない)。

Translated by Akiko Kato

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