11年目のBIGMAMA「自分が迷わないことが大切」

メジャー1stアルバム『-11℃』をリリースしたBIGMAMA

通算8枚目、メジャー1stアルバム『-11℃』をリリースしたBIGMAMA。現メンバーとなって11年目に突入し、2017年10月には念願の日本武道館ワンマンをソールドアウト。ストイックすぎるほどに音楽と向き合いながら、アルバムごとに微視的な変化を遂げてきた彼らが放つ本作は、長い時間をかけて形成された音楽性が幾何学的な模様を描く会心作となっている。「BIGMAMAらしい部分をプッシュし続けた」。その言葉の真意とは。金井政人(Vo, Gt)と柿沼広也(Gt, Vo)に話を聞く。

―メジャー1stアルバムが完成しました。制作する上でどのような構想がありましたか?

金井:有象無象するバンド界隈の中、どうやったら頭ひとつ抜け出せるか。ロックバンドがだんだんとフォーマット化されているのを感じていて、自分たちもキャリアを含めて重ね合わせた時にこのままではいけないというか、どこかひとつ態度と音楽で示さないといけないなという美的意識に対する危機感を感じていて。それを形にして突破するために、今まで10年間自分たちが辿ってきたストーリーの中で、一番の強みをプッシュし続けるアルバムを作りたいと思いました。それはロックバンド然としていながら、ヴァイオリニストがいることで醸し出せる美しさだったり、自分たちなりのプライドを誇張し続けることで作品を作るべきだなと思ったんです。

柿沼:主に曲を作っているリアド偉武(Dr)を含めた3人でサウンドの方向性などを話し合ったのですが、これまで好きだったアーティストのアルバムを聴いた時に、そこまで無理に音楽性の幅を広げなくてもいいというか。10年間やってきた経験と、強い曲で自分たちの得意な部分、“BIGMAMAってこういうバンドだよね”ってみんなが思っている部分を聴かせることを意識しました。

金井:そういう話を経て、その引き金となったシングル(「Strawberry Feels」「CRYSTAL CLEAR」)が元々あったので、点だったものを線にしていくための方向性は芽生えていました。あとは滑走路をとって突っ走るだけだと。

―今作は“身体”がテーマで、異なる体の部位をモチーフにした楽曲が収められています。引き金となったシングルの段階からこの構想を見据えていたんですか?

金井:大人な理由と子供の理由があって、大人の理由で言うとユニバーサルミュージックとタッグを組む時に、どういう形でお仕事の話が入ってくるのかわからなかったんですね。ただ、自分のクリエイティビティの中でテーマがない作品は作れないと思っていて。その都度、一枚絵でキレイな絵を描きたいんです。アルバムって曲が重なって束ねられた作品だからテーマが必要で、その時に“身体”だったら何にでも対応できると思いました。歌詞の中に手だったり足だったり鼻だったり耳だったり、一部分だけを共有することによって、どういう話が来ても1枚絵の中に収められる自信があったんです。子供の理由で言うと、一度バラバラにしたかった。破壊願望というか。何かを壊すこと、そういう少年的な欲求が同居していたのかなと思います。

―結果的にそのテーマがあることで、作品としてのコンセプトが明確になってドラマ性が生まれていますね。

金井:作品ごとに影響を受けている作品があって、今回は小説でした。ジョージ・オーウェルの「1984年」なんですけど、小説の中でひとつの数式が出てくるんです。それが“2+2=5”という数式。レディオヘッドの楽曲のタイトルにもなっていて、小説のネタバレにならないように話すと洗脳描写なんですよ。“2+2で何本の指に見える?”って聞いて、4本指を立てて“5本です”と言わせられるかどうか。そういう描写がすごくキャッチーに思えて。間違った数式だけど正しい。これって歌詞を書くロジックとか、作品を作るときに“それおかしいじゃん!”って言わせられるテクニックとしてすごくキャッチーだと思って。

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