米ポルノ女優によるトランプ訴訟問題から見る「女性蔑視」のメカニズム

女性に対するトランプの発言のほとんどが女性蔑視だと言える。(Photo by Andrew Harrer-Pool/Getty Images)

アメリカ現地時間15日、連邦裁判所判事はドナルド・トランプを相手取った米ポルノ女優、ストーミー・ダニエルズの名誉毀損訴訟を却下した。大統領は喜びのツイートで相手のポルノスターを「馬面」と呼んだ。

トランプとの関係を口外しないようトランプの代理人から脅迫を受けたとのダニエルズの主張に対して、トランプがTwitterででっち上げだと反論。それを受けてダニエルズが訴訟をしたものの、「想定内の政治上の誇張」という理由で結果的に却下された。翌16日にトランプは喜びのツイートを投稿し、その中でダニエルズのことを「馬面」と呼んだのである。

様々な侮辱的発言と屈辱的なニックネームを駆使した暴言で有名なトランプゆえ、ダニエルズにジャブを食らわせたことは驚きでも何でもない。しかし、ツイートで彼女の外見を口撃の的にしたことは、大統領自身が女性に対する最大の攻撃が相手を「醜女と呼ぶこと」と考えていることを示す。

「女性蔑視や女性嫌悪を持つ人の場合、彼らの攻撃の対象が女性の外見に直接向かう傾向がある。その理由は、彼らは(彼ら自身の女性蔑視の信念体系と相まって)女性は他の何よりも外見を気にすると信じ込んでいるからだ」と、マイアミ大学のブロガード多感覚応用研究所の所長ベリット・ブロガードが言う。彼女はサイコロジー・トゥデイに女性蔑視に関する記事を寄稿したこともある哲学者だ。「つまり、彼らは女性の外見を攻撃することが、彼女たちの性格や知性を攻撃するよりも効果が高いと信じている」と言うのだ。

コーネル大学のセージ・スクール・オブ・フィロソフィーの准教授で『Down Girl: The Logic of Misogyny(原題)』の著者ケイト・マンもブロガードに同意する。「家父長制の世界では、力のある男性に提供できるものが何かで女性の価値が決まるため、女性のランク付け、売買の値段を決める商品価値の一つが外見だ。もちろん女性の価値を下げる要因の一つでもある」と、マンが指摘する。そしてトランプのような男性が、女性が彼の気にそぐわないことを言ったりした場合、いの一番にその女性の外見を攻撃する意味を「女性の外見の価値を下げることは、事実上、発言者が『この女は価値がない。取るに足らない女だ』と明言していることだ」と言う。

Translated by Miki Nakayama

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