米人気コメディアンが81歳で実刑判決、TVでのイメージとはかけ離れた「性犯罪者」の顔

生涯にわたって性犯罪者リストに名前が登録されたコメディアン、ビル・コスビー(Photo by Randy Miramontez / Shutterstock)

女性にドラッグを服用させた上で暴行した罪で起訴されていたビル・コスビー被告に対し、米国現地時間25日、州刑務所での禁固3年から10年の実刑判決が下された。この裁判は、MeToo運動の動向を占うリトマス試験紙として世間から大きな注目を浴びており、コスビー被告には30年の禁固刑が求刑されていた。

スティーブ・オニール判事は、コスビー被告の弁護人に対し、上訴期間中の保釈請求を却下。そのため、コスビー被告は判決後ただちに収監された。

この日の午前、オニール判事はコスビー被告を「凶悪性犯罪者」として認定。これにより、コスビー被告は生涯にわたって性犯罪者リストに名前が登録される上、月に一度のカウンセリングを受けることが義務付けられる。「今こそ正義が下されるときです。コスビーさん、これは因果応報です。もはや逃れられません」というオニール判事の言葉をAP通信は報じている。コスビー被告には裁判所で答弁の機会が与えられたが、被告はこれを辞退した。

コスビー被告の弁護団とモンゴメリー郡のケビン・スティール検事は、判決をめぐって激しく対立していた。弁護団は、被告が高齢であること、また健康面での不調を理由に、刑務所での服役の代わり自宅軟禁を要求。「81歳の男性が刑務所で何ができるというのでしょう?」と、被告側の弁護士ジョセフ・グリーン氏の発言をAP通信は伝えている。「自分を利用しようと食堂で近寄ってくる人々から、どうやって身を守れというのでしょう?」。弁護団は判決に対して上訴する姿勢を明らかにしている。

一方スティール検事は、「刑務所に行くには高齢すぎるという主張は、モノポリーの『釈放カード』を使うようなもの」と反論。「弱い者いじめだと主張する作戦に訴えようと、広報担当者らが世論を操作しようと、結局は被告側の弁護士の1人も言っていたように、誰一人として法を逃れることはできないのです」と、スティール検事は付け加えた。

USA Today紙によると、24日の月曜の朝、コスビー被告は、大勢の群衆が抗議の声を上げる中をかき分けてモンゴメリー郡裁判所に出廷した。この日スティール検事は、被告に対し5年から10年の禁固刑を判事に求めた。AP通信によれば、ペンシルベニア州の証人として呼ばれた精神科医のキルステン・ダドリー氏は、コスビー被告が「性犯罪者の条件に適合する」と証言した。

Translated by Akiko Kato

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