米レコード協会が発表、CDの消滅速度はアナログ盤隆盛の3倍

音楽業界のストリーミング収益が急上昇する一方で、フィジカルとデジタルの売り上げが下降していると米レコード協会が発表した(Jeffrey Coolidge)

今年のアメリカレコード協会の上半期報告書でアナログ盤の明るい見通しとCDへの死の宣告が報告された。

例年通り、アメリカレコード協会(RIAA)が現地時間9月20日に今年の上半期報告書を公表した。この報告内容は過去2年間、我々が見てきた状況の延長線上といえるもので、音楽業界のストリーミング収益が急上昇する一方で、フィジカルとデジタルの売り上げが下降している。

また、この報告書に記された衝撃的な事実が、フィジカル・プラットフォームの減少の急激さだ。ここ10年間でアナログ盤が見事に復活を遂げて、2017年の売り上げ総数が1990年代初頭以来の最も高い数値となった一方で、CDが衰退の一歩を辿っている。このRIAAの報告書によると、2018年と2017年の上半期を比較すると、アナログ盤収益は12.6%増加し、CD収益は41.5%急降下している。同時期のアナログ盤とCDの販売総数を比較した比率も、これとほぼ同じだ。確かにCDの売り上げ(販売枚数など)は相変わらず何百万枚という数値だが、前年と比べてCDが急激に衰退したことで、フィジカル商品全体の出荷数が25%下落した。これは前年度の減少率よりも高い数値だとRIAAが指摘している。

レーベルのCDリリース数自体が減少しており、ターゲットやベストバイなどの小売業者が入荷数を限定したり、CDを在庫しない方針を取ったりしている状況で、しばらく前からコンパクト・ディスクが死の床についている状態だが、フォーマット消滅へと向かうスピードの速さは衝撃的である。一方、アナログ盤は業界に楽観的な展望をもたらしている。アナログ盤がデジタル・フォーマットを侵害する可能性がないことは誰の目にも明らかで、アナログ盤もデジタル・フォーマットも独特のオーディオ・クオリティとノスタルジックな価値を持つため、ミュージシャンも音楽業界のエキスパートたちも両者は今後も存続すると予想している。「次の10年間はストリーミングとアナログ盤の時代になると確信している。つまり、車やキッチンではストリーミングで、居間や私室ではアナログ盤で音楽を聞く時代だ。フォーマットはこの2つだけだろう」と、アナログ盤を声高に推進しているジャック・ホワイトが2018年前半にローリングストーン誌に語っていた。

さらに、RIAAの上半期報告書では、ストリーミングの継続的な成長(前年比28%増)と、この分野では有料ストリーミングが主流へと躍り出たことを指摘している。

「RIAAを今後も維持する要素は継続的でたゆまない音楽への重視だ」とRIAA会長ミッチ・グレイシャーが報告書で述べている。そして「現行のライセンス契約システムにもかかわらず、ここまでの成長を遂げている。つまり、この契約システムが成長の理由ではない」と記し、今週Music Modernization Act(※音楽現代化法の意)が議会の上院を通過したことと関連付けている。この法案は、どのプラットフォームでもすべてアーティストに公平な市場価格を保証するための最初のステップとみなされているが、デジタル時代の音楽ライセンス契約でアーティストの不利益となる数々の問題を解決する万能薬ではないことも事実である。

Translated by Miki Nakayama

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