北米随一のチケット販売会社「チケットマスター」転売詐欺の疑い

アデルのチケット販売開始時におおよそ1千万人が購入しようとしたとされるチケット会社に詐欺の疑いがかけられている(Photo by Sascha Steinbach/Getty Images)

米国カリフォルニア州に本社を置くチケット販売会社のチケットマスター社は、潜入調査によってチケット転売詐欺が明らかになった。チケットマスターに残されたメモによると、アデルのチケット販売開始時におおよそ1千万人が購入しようとした。

チケットマスターが販売する高額なコンサートチケットへの音楽ファンの不満と怒りがもうすぐ収まるかもしれない。CBCニュースとトロントスターが行った調査によって、現地時間9月18日、北米随一のチケット販売会社によるチケット転売詐欺の詳細が明らかとなった。CBCニュースとトロントスターは、この夏行われたあるライブ・エンターテインメント・コンベンションにダフ屋に扮したジャーナリストを潜入させた。彼らの報告によると、チケットマスターからプロのダフ屋向けの秘密の転売プログラムを提案され、このプログラムはチケットマスターが転売利益の一部を受け取る方式のものだったという。

チケットマスターを運営するのはライブ・エンターテインメントの巨人ライブ・ネーションだが、同社は転売業者に対して自社サイトから大量のチケット購入を積極的に勧め、購入後にチケットマスターが所有する招待制のプラットフォームTradeDesk(同社は「史上最もパワフルなチケット販売ツール」とうたっている)に、値段を釣り上げたチケットを掲載させていることも報告されている。つまり、チケットマスターは自社での正式な販売で得た利益の他に、高額な転売チケットに課した手数料からも利益を得ているわけだ。チケットマスターには同社にとって不利益となるオンラインでのチケット販売に目を光らせる「購入者への嫌がらせ」部門があるにもかかわらず、自分たちが運営するTradeDeskのユーザーは目こぼしすると、CBCとトロント・スターのジャーナリストたちに説明した。また、ある販売部門の責任者は潜入ジャーナリストに、TradeDeskには「文字通りアカウントを200個持っている」ブローカーが複数いること、この行為が「我々が調査したり、報告したりするものではない」ことを教えた。

これまでチケットマスターは、自社サイトからボットを使ってライブイベントのチケットを素早く獲得した複数のグループを告訴している。しかし、これはチケットマスターが、彼らが認めるチケット販売業者にボットソフトを提供している実態と相反することになった。TradeDeskによるボットソフト提供の可能性は今週の調査で明らかになっている。この一件が明るみに出たことを受けて、「これは広報活動にとって悪夢の幕開けだろう」と、カナダのラジオ番組のホストとして大人気のアラン・クロスがCBSに語った。そして「チケット販売業界では前々から噂になっていたが、これほど実態が明らかになったのは初めてだ」と続けた。

チケットマスターからはまだコメントは出ていないが、CBCに送った声明には「何千というチーム、アーティスト、会場を引き受けている世界でも屈指のチケット販売プラットフォームである当社にとって、一次市場であっても二次市場であっても、ファンたちがチケットを売買できる安全で公平な場所を提供することが使命だと信じています」と書かれてあった。

Translated by Miki Nakayama

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