「お前が彼をダメにした」アリアナ・グランデとマック・ミラーに見る、女性が悪者になる恋愛関係

BRITTANY SPANOS | 2018/09/12 15:00

| 2016年のMTV Video Music Awardsのアフターパーティでのマック・ミラーとアリアナ・グランデ (Photo by Kevin Mazur/WireImage) |


金曜日にミラーが薬物の過剰摂取で悲劇の死を遂げると、グランデの名前はたちまちTwitter上で話題になった。大勢のユーザーは彼の功績を単なる「人気スターの元恋人」に貶めただけでなく、非難の矛先を再びグランデに向けた者もいた。彼女のInstagramのコメント欄やTwitterの投稿は、たちまち女性に対する非難や、彼女がミラーを殺したという抽象的な発言、悲しみに暮れるあまり誰かを責めずにはいられないといった類の罵詈雑言であふれかえった。ミラーの死を最初に報じたTMZの記事にも、2人の破局が原因となってミラーが薬物に屈したと仄めかすような記述がある。グランデはすぐにInstagramのコメント機能を停止。以降、彼女のアカウントにはミラーの微笑ましい写真が掲載されている。フレームの下から彼女のスニーカーが顔をのぞかせていることから、付き合っていた当時彼女自身が撮影したものと思われる。

恋人の抱える問題をしょいこまされた女性は、グランデが初めてではない。とくに名声やファン心理が絡んでくると、裏切りや心変わりを騒ぎ立てるゴシップ記事を信じこみ、悲劇の直接的原因であると誤解する。だが現実には、どんな最強ヒーローでも、周囲のサポートにも関わらず戦いに敗れることもあるのだ。今回の場合は、グランデが人生をやり直そうと彼女のいう「ソウルメイト」に出会い、幸せの真っただ中にいるがゆえに、女性を敵視する人々を「やっぱりミラーの転落は彼女の責任だ」と納得させる根拠を与えてしまった。

このようなファンの主張の根幹には、ポップカルチャーで長きにわたって語り継がれている悪しき伝説、いわゆる“オノ・ヨーコ効果”がある。ポップカルチャーは、自分たちが理解できない事柄は全て女性になすりつけたがる。往々にして、やたら男らしさを振りかざすファンの一派が信奉しているような主張や陰謀説が、しぶとく居座り続ける場合もある。コートニー・ラヴはいまだに攻撃の矢面に立たされ、SNS上のコメントやブログには、カート・コバーンがヘロイン中毒になった原因を作ったのは彼女で(間違い)、彼女がコバーンを殺害して自殺を偽装した(これも事実とは異なる)、という陰謀説が後を絶たない。コバーンが死んだ20年前にはSNSなど存在しなかったが、ラヴがなにかしら投稿するたびにこうした心ない意見が現れるという事実は、社会が女性に男性の子守役を押し付け、女性が恋人の痛みを受け止めきれないとわかると怒りをぶちまける図式を如実に物語っている。

その一方で、ミラーとグランデ両方のファンの多くは、彼女に対する意地の悪いコメントを目にした人々も含め彼女の弁護に回った。2人の破局とミラーの交通事故を結び付けた張本人のフリントでさえも、考えを改めた。

「1回しか言わない。これはアリアナのせいじゃない。残念かもしれないけれど、彼女が僕にツイートした内容が正しい」

「ポジティブで何よりじゃないか」 最後のアルバムとなる『Swimming』のリリース直前、ミラーはインターネット・ラジオBeats 1とのインタビューで、グランデの婚約についてこう語った。グランデがノートの中で2人の破局に対して再び口を開いたことを受けてのコメントだった。彼女は常々、薬物依存からの回復を祈り、彼を心底気にかけていた。2人が何年も前からの知り合いだったことを考えれば、彼女の主張が偽りではないことに疑いの余地はない。

「彼女が人生の次のステップに進むことができて、本当にうれしい」と彼は続ける。「きっと彼女も、俺に対して喜んでくれていると思うよ」。

Translated by Akiko Kato

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