プリンス、ストリーミングで聴ける後期の傑作10曲

2007年6月1日、カリフォルニア州パサデナで演奏するプリンス(Photo by Kevin Winter/Getty Images for NCLR)

プリンスの楽曲が再びストリーミング配信された。イト・ブッシュとのコラボ曲からヒッピー讃歌、コテコテのファンクまで! 輝けるキャリアの休眠期から、プリンスらしい楽曲をピックアップ。

プリンスの楽曲が最近になって再びストリーミング配信され、新たに『アンソロジー:1995-2010』がリリースされると、ポップ界の偉大な先駆者の死を悼むファンもようやく気を取り直し、彼が生涯作り続けてきた音楽がいかに目を見張るものだったのか、改めて実感していることだろう。なんといっても、『アンソロジー』の対象となっている1995年から2010年の期間だけで、19枚ものアルバムをリリースしているのだ。それも、オフィシャルリリースされたものだけで19枚。今回は、この時代に制作された楽曲をざっと振り返ってみよう。『アンソロジー』に収録されているもの、そうでないもの様々だが、いずれも盆と正月がいっぺんに来たかのように、ソウルフルだ。

1. 「Endorphinmachine」―1995年『ザ・ゴールド・エクスペリエンス』より
ビンテージ風のヒネリを随所にちりばめたラガラップ・ロックが炸裂し、官能的なスクリームと絶叫ギターが集中砲火を浴びせる。実力派バンドのこれまでの歩みの集大成。ヴァン・ヘイレンやDigital Undergroundを彷彿とさせるところもあり(とはいえ、彼らの『Sex Packets』はプリンスとは似ても似つかないが)、笑っちゃうぐらい、タイトルそのまんまの1曲。

2. 「Dream Factory」―1998年『クリスタル・ボール』より
たとえて言うなら、中西部のパーティ・ファンクが、中身のない西海岸のサウンドをディスった曲。エフェクトをかけたボーカルが、「ハウスクウェイク」のノリを思わせるこの曲は、かの有名な1986年の未発表アルバムのタイトルトラックとして収録されたもの。最終的には『クリスタル・ボール』で日の目を見ることとなった。茶目っ気王子の未発表曲の中でも、完全な形で発掘された第1号。

3. 「Every Day Is a Winding Road」―1999年『レイヴ・アン2・ザ・ジョイ・ファンタスティック』より
プリンスが自分の曲をカバーすると聞いたら、名誉であると同時に、頭を抱えることになる――彼の解釈はつねにオリジナルの存在をくってしまいかねないからだ。リズ・フェアとローリング・ストーンズのマッシュアップのようなシェリル・クロウの1996年のヒット曲も、プリンスの手にかかると、セクシーなハウス・ファンクの代表ソングに生まれ変わった。

4. 「My Computer」―1996年『イマンシペイション』より
プリンスが、イギリス人の心の友ケイト・ブッシュとコラボレーションした第2弾(ちなみにコラボ第1弾は、ケイト・ブッシュの1993年のアルバム『レッド・シューズ』収録の「ホワイ・シュッド・アイ・ラヴ・ユー?」)。デジタル時代の孤独と渇望を赤裸々に謳ったバラードは、ブッシュの1989年の楽曲「ディーパー・アンダースタンディング」に捧げる1曲。改めて振り返ると、よけいに胸に突き刺さる。

Translated by Akiko Kato

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