「存続が危ぶまれる」レベルの深刻な財政難に陥った全米ライフル協会

ピストルを宣伝する大きなバナー広告の前を通り過ぎる全米ライフル協会大会の参加者。ジョージア・ワールド・コングレス・センター アトランタ州 2017年4月27日(Photo by Scott Olson/Getty Images)

全米ライフル協会(NRA)が、深刻な財政危機に陥っている。2018年8月3日、ローリングストーン誌が入手した、同団体による最近の告訴状によって明らかになった。告訴状によると、同団体は「まもなく組織を存続できなくなり、銃を擁護するミッションを継続できなくなる可能性がある」という。

NRAによる告訴状によると、今回の事態は、ロシアのスパイとされるマリア・ブティナらとの疑惑問題とは関係がないという。一方でNRAは2018年5月以降、ニューヨーク州の主導する“ブラックリスト・キャンペーン”により“数千万ドル規模の損害”を被ったとして、アンドリュー・クオモ知事と州の金融規制当局に対して訴訟を起こしている。

2018年7月後半に米国地方裁判所へ提出された訴状の修正版によれば、NRAは組織運営に必要な金融サービスを利用できず、“回復不可能な損失と損害”に直面しているという。

特にNRAは保険の適用から外されたために日々の組織運営も危うい、と訴えている。「保険の適用は、NRAの存続に必要なもの」と団体は訴状で述べている。一般賠償責任保険なしにNRAは、「物理的な施設を維持したり外部での会議やイベントも開催できず、啓蒙プログラムも展開できない。また、集会や会合、定期大会なども主催できない」という。

また訴状では、NRAによるビデオ・ストリーミング・サービスや雑誌も、間もなく中断される可能性があることを示唆している。

「メディア責任に関する保険が適用できないことでNRAは、重大なリスクに晒される。保険会社がNRAとの取引を躊躇し続けるようであれば、NRATVの運営を中断せざるを得ない深刻なリスクに陥る」とし、さらに「あらゆる印刷物や雑誌の発行も中止せざるを得ない可能性がある」という。

保険問題に加えNRAは、クオモ知事とニューヨーク州金融サービス部門による“嫌がらせ”により、「基本的な銀行預金サービスや、NRAの存続に欠かせないその他の金融サービスを利用できなくなる状況が差し迫っている」と訴えている。


全米ライフル協会大会での演説を終え、ステージを降りるトランプ米大統領。テキサス州ダラス 2018年5月4日(Photo by Rolling Stone)

NRAによる告訴は、同団体の直面する財政的リスクがかなり深刻であることを物語っている。日常的な銀行サービスを利用できないことでNRAは、「非営利団体としての組織の存続や、銃を擁護するミッションを継続できなくなる」と主張する。訴訟では、ニューヨーク州が「米国で最も伝統のある合法的な銃所持の権利を擁護する団体を黙らせようとしている」とし、裁判所に対して「彼らの嫌がらせを止めさせなければ、彼らの目論見はおおむね成功してしまうだろう」と訴えている。

Translated by Smokva Tokyo

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