中川翔子×長井龍雪「印刷会社の営業マンからアニメ監督に…異色の経歴に迫る」

中川:私も声優をやらせてもらうときがあるのですが、ちゃんと絵が完成しているときもあれば、ほとんど真っ白な状態のときもあって(笑)。そういうときは、事前に監督さんから受けた説明や、現場での音響監督さんによる指示に従って、ほとんど勘で演技するんです。でも、そこに後から完成された絵が乗ったら、ものすごく細かい動きになっていて感動したんですよね。ほとんどテレパシーというか(笑)、それぞれのクオリティを信じているから出来ることだなと。

長井:それはありますね。

中川:そもそも、監督はアニメとどのように出会ったのですか?

長井:子どもの頃は、ガンダム的なアニメを夏休みにリピートする番組が、地元の新潟にはあったんですね。『太陽の牙ダグラム』と『機動戦士ガンダム』と『装甲騎兵ボトムズ』をひたすら交互に放送したり、『聖戦士ダンバイン』や『重戦機エルガイム』など富野由悠季さんの作品を特集したり(笑)。ちょうどロボットアニメ全盛期で、特に僕は『機動警察パトレイバー』のゆうきまさみさんがすごく好きだった。ゆうきさんの『究極超人あ〜る』が話題になり、オタクカルチャーが盛り上がってきた頃だったので、それへの憧れや居心地の良さ……「なんだか楽しそう」っていう感覚が、未だに残っている感じなんですよね。僕、いま42歳なんですけど。

中川:え、すっごくお若くないですか? 何歳だか分からない。何食べてるんですか?

長井:ええ? なんだろう(笑)。普通の食べ物ですよ。ただ、普段からあまり陽の光を浴びないので、みんな年齢不詳になっていきますね。

中川:そうか、紫外線を浴びないと若くいられるのか……。

長井:(笑)。で、中学高校のときは、ちょっとアニメから遠ざかり気味だったんです。ちょうどその頃、アニメはテレ東の6時の帯でアニメをやっている時代で、新潟ではそれを全然やってくれなくて。ネットももちろんないし。で、専門学校に入った頃に押井守監督の映画1作目『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)が公開されて。「アニメ、かっこいいな」とあらためて思ったんですよね。ただ、就職したのはアニメとは全く関係のない印刷会社でした。

中川:印刷会社! 確かに、アニメとは全然違う。

長井:そもそもアニメで食えるとは思わなかった。でも、自分が印刷会社の営業マンとしてあまりにも使えなさ過ぎて……(笑)。数年後に東京へ転勤することになったんですけど、その頃ちょうど『新世紀エヴァンゲリヲン』全盛期だったんです。新潟はエヴァも遅かったから、東京で初めて劇場版エヴァを観て「うわあ、すげえかっこいい!」って。それがきっかけで、「やっぱりサラリーマンは限界かな」と思うようになったのかもしれないですね。

中川:それでアニメの「制作進行」の仕事に就いたんですね。

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