三浦大知、20年のキャリアを支えた身体論とは?

Rolling Stone Japan vol.02 三浦大知|表紙巻頭 インタビュー(Photo by Hirohisa Nakano)

いまだ日本では希少種と言える“歌って踊れる”全方位型のアーティストとして、昨年、大きなブレイクを果たした三浦大知。1997年、9歳でダンスグループFolderの一員としてデビュー。2005年のソロデビューから今日までのキャリアは、一つひとつ、身体を張って出し続けてきた答えで描かれたレイヤーに他ならない。その独自の身体論とエンターテイメント哲学とは? またそれらはいかにして構築されたのか? その真髄に迫るべく、過去、三浦が敬愛するレジェンドたちも登場してきたローリングストーンのジャパンエディション新創刊第2号のカバーを飾ってもらった。

※この記事は6月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.03』に掲載されたものです。

ーこのインタビューに先駆けて、2月15日の日本武道館公演を拝見しました(※2月14日、15日に行われた『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR 2017』追加公演。本インタビューは同公演から約一週間後のタイミングに実施)。

ありがとうございます。

ーまずはツアーを終えた感想から聞かせていただけますか。

とにかく楽しかったですね。特に武道館は去年の9月から12月にかけて全国をまわっていたツアーの集大成でもあったので、そういう意味でもすごく楽しかったし。またここから「次は何をしようかな?」と新たにスタートを切れるのも楽しくて。実はもう次に向かって、だいたいのアイデアは頭の中にあるんですけどね。

ーつまり常に数カ月以上先のビジョンを考えている?

そうですね。でもクリエイターの人って、僕に限らずだいたいそうなんじゃないでしょうか。 Aを手がけながら、習慣的に同時進行でその次のBも作っていると思いますし。

ー確かにそうですね。

僕もツアーが始まったら、「じゃあその次のツアーはどうするのか?」についてスタッフと話していますから。実際、そうした会話の中から話しながら浮かんでくるアイデアも僕の場合はかなりたくさんあるので。

ー拝見した武道館公演二日目はゲストが豪華でしたね。絢香さん、菅原小春さん、Folderの同窓生だった満島ひかりさん。そしてKREVAさん、宇多丸さん(RYHMESTER)、千晴さんといった、三浦さんにゆかりのあるヒップホップの代表選手が一堂に会しましたね。

そうですね。ここまでやってきて本当によかったなあと思いました。

ー彼らのような地頭の良い実力派の面々に認められ、かつ愛されているのもまた三浦大知というアーティストの特性だと思うのですが。

とんでもないです。でもあのステージは本当にうれしかったですね。

ー例えば宇多丸さんやKREVAさんといった年上の方との交流から教わったことや、吸収させてもらったと思うことは具体的にありますか?

たくさんあるはずですけど、そうですねえ……例えば宇多丸さんはFolderの頃からずっと応援してくださっていて。とにかくすごく言葉を持っていて“語れる”人じゃないですか。自分が心から好きだと思う物事について、あんなにロジカルに、しかも人の心にきっちりと届くように語れるスキルは尊敬しているし、そんな方にずっと以前から推してもらっていたのはとても光栄なことだと思っています。愛を感じるし、それを行動で表すとこができるのって、大人としてカッコいいよなあと。

ーなるほど。

KREVAさんについても、僕はもともとファンだったぐらいだから本当に光栄で。イーグル・アイじゃないですけど、すごい精度で目が利くというか、多角的に物事を捉えることができる人ですね。現場でご一緒させていただくと、自分の主観だけではなく、常に別の角度や見地から見たらどうなっているのかを意識されているなあと感じます。だからあれほどまでに強いリーダーシップが取れるんだろうなあと。とにかく場を掌握する力がハンパじゃないので、ツアーで自分のチームをまとめる点においても、たくさん学ばせてもらっていますね。

ー三浦さんはソロアーティスト。つまりスタッフ、ツアークルーやダンサーのチームは一緒にいても、看板としては単騎です。バンドやユニットのようにメンバーがいるわけではない。ご自身のリーダーシップであり、看板や座長としての成長についてはどのような意識で臨んでこられましたか?

そういう点について、自分から特に意識をしたり注意を払ったりはしてきませんでしたね。それよりもまず、「面白そう」であり「楽しそう」なものに全力を注ぐことを第一にしてきたつもりなので。僕はやっぱり歌とダンス、そしてエンターテイメントが根っから好きなので、“三浦大知”という場所がお客さんにとって最高の“遊び場”になることが理想なんです。

ー“遊び場”ですか?

そう。なんだか来るたびにアトラクションが増えている遊園地やテーマパークみたいな。実際、僕の中では「あ、まだこれやっていない」とか「これもやってみたい」というアイデアやプランがたくさんあって、それを繰り返している真っ最中ですから。

ーそういう意味で言えば、武道館はアトラクションが山盛りの遊び場でしたね(笑)。

しかも有難いことにどれも間違いなく楽しいアトラクションだったという(笑)。でもその一方で、例えば「あの遊園地、めちゃくちゃ面白かったからまた行こうよ?」ともう一度足を運んだら、今度は思いっきり更地になっていて、そこにたった一つのアトラクションだけがぽつんとあったら、それはそれでまた楽しいじゃないですか?

ーかなり意表を突かれますね。

そういう振り幅も大事にしたい。「あ、三浦大知、また何か変なことやってるな?」と思ってもらえるような動きを絶えず続けていきたいんです。

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