ビートルズ『ホワイト・アルバム』の原点となった音源「イーシャー・デモ」制作秘話

Rob Sheffield | 2018/08/05 10:30

| ロブ・シェフィールド著『Dreaming the Beatles』には、ビートルズが『ホワイト・アルバム』のデモを楽しそうに製作する様子が描かれている。 (Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images) |

1968年5月、ビートルズのメンバーはジョージの自宅で和気あいあいとデモ・テープをレコーディングした。真の友人として集まった最後の機会だった。当時のメンバーは、4人の友情が間もなく崩れ去るとは夢にも思っていなかった。

長きに渡りローリングストーン誌のコラムニストを務めるロブ・シェフィールドが、ザ・ビートルズを称える著作『Dreaming the Beatles: The Love Story of One Band and the Whole World』を出版した。リヴァプール出身の4人の少年たちが世界で最もビッグなポップ・グループに成長し、分裂しながらも大きくなり続けた夢物語だ。2018年6月19日にペーパーバック版として発売された同書は、ジョン・ポール、ジョージ、リンゴが絶頂期にあった60年代から、カルチャー化した後の日々を描いている。本稿ではシェフィールドが、ビートルズの知られざる至宝のひとつであるイーシャー・デモに迫る。1968年5月、ビートルズはジョージ・ハリスンの自宅で『ホワイト・アルバム』へ向けたデモをレコーディングした。当時のメンバーは、4人の友情が間もなく崩れ去るとは夢にも思っていなかった。


ロブ・シェフィールドの著書『Dreaming the Beatles: The Love Story of One Band and the Whole World』

1968年5月の終わり、ビートルズのメンバーはイーシャー(英サリー州)にあったジョージ・ハリスンの平屋建て住宅“キンフォーンズ”に集まった。インドから戻ったばかりの彼らは、次のアルバムのレコーディングのためアビイ・ロードへ行く準備を整えていた。メンバーはアコースティックギターで数曲のラフなバージョンを、ジョージの所有していたアンペックスの最新式オープンリール・テープデッキに録音した。この時出来上がったのが、彼らの最も興味深く楽しげな未発表音源『イーシャー・デモ』だ。他では聴けない彼らの音楽がここには詰まっている。全27曲の大半は『ホワイト・アルバム』に収められたが、デモでは本番のレコーディングのような緊張や不安は感じられない。イーシャーでメンバーは楽しい時間を過ごした。その後のアルバム製作段階でメンバー同士が酷く傷つけ合うことになろうとは、思いもしなかった。仲が良く楽しそうな雰囲気で、メンバーがビートルズの一員であることを楽しんでいる恐らく最後の時間だっただろう。

Translated by Smokva Tokyo

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