デイヴ・グロールが語る、ワールドツアーとニルヴァーナ再結成ライブエピソード

ローリングストーン誌のインタビューに応えたデイヴ・グロール(Jen Rosenstein)

現在ワールドツアーを敢行中のフー・ファイターズのデイヴ・グロールが、トム・ペティの死からクラシック・ロックのレジェンド達の引退、ニルヴァーナ再結成ライブのエピソードまでローリングストーン誌に語ってくれた。

「日によってバスの中で食ったピザのトッピングを思い出すこともあるし、明日洗濯しなきゃと考えていることもある。でも『エバーロング』のような曲を演奏し始めると、瞬時に過去に引き戻される」

6月28日、メンフィスにいたデイヴ・グロールはオフだった。そこで、彼はグレースランドに立ち寄り、エルヴィス・プレスリーのことを考えた。ギターを持った子供だったエルヴィスが「若くしてスターダムに上り詰めた副作用」にどう対処できたか、を。ただ、プレスリーやその他の名声に悩んだスターたちと違って、グロールは長い間スターダムにうまく対処できるように生まれついているようだ。その理由の一つは、彼がスターとしての人生を心底楽しんでいることにある。現在、彼はフー・ファイターズでワールドツアーを開催中だ。バンドは2017年9月に、グレッグ・カースティンがプロデュースした最新作『コンクリート・アンド・ゴールド』をリリースしている。フー・ファイターズとして23年間活動を続けてきたグロールが始めたばかりの今ツアーのライブについて語ってくれた。「これを言ったらカッコ悪いと思うけど」と前置きしてから、「でも、正直な話、俺は一晩中、観客席に目を光らせている。みんなを椅子から立ち上がらせようってね。3時間、全員が立ったままだったら、『連中を思い切り楽しませたから、今日は良いライブだった』ってステージを降りるんだよ」とグロールが語った。

―今日飲んだコーヒーは何杯ですか?

6杯くらい。一日を始めるのにちょうどいい量だよ。

―以前カフェインによって誘発される胸の痛みがありましたよね。コーヒーを減らす気は?

ねえ、君さ、これってコカインを一度もやったことのない人間にコカインの質問しているのと同じって気付いてないか? この顔をコカインの山の中に突っ込んだらどうなるか、俺は想像でしか話せないけど、少なくともこんなふうに電話で君と話してはいないと思うよ。身体からカフェインを抜かないとダメだって診断されたから、実際にデカフェを試したよ。そうだな、たぶん1週間くらい。で、たどり着いた結論が、俺はデカフェが大嫌いってこと。

―タバコをやめたことはありますか?

ああ、タバコはやめたよ。やめたり、また吸ったりしながらね。やめるとまた吸って、またやめて、また吸っての繰り返し。8年間やめていたのに、あるとき吸い出して、そのあとで何年もやめた。何かをやめるときっていうのは、「やばっ、これは本気でマズいぞ」みたいな、身体が納得する閃きというか、強い直感というか、そういうのがないとダメなんだ。俺がタバコをやめたのはナッシュビルで、10年前だったのを思い出した。あのとき、ツアーの途中で最低な気分になって、タバコをやめた。それが本当に長く続いたよ。

―クラシック・ロックのアーティストが引退する風潮をどう思いますか?

俺は12-12-12コンサート(※2012年12月12日に行われたハリケーン・サンディ被害の救済コンサート)で引退について考え始めた。あのとき、マッカトニー、ストーンズ、ザ・フー、ロジャー・ウォーターズと、最高のメンツが揃っていて、彼らはみんなロックの一時期に現れて、一時代を築いて、ずっと大活躍している人たちだろう。俺は「ってことは、もうすぐこの人たちがいなくなる日が来るってことだよな? それもみんなが一気に消えてしまうってことか?」って思った。

―あなたたちや他のバンド、例えばパール・ジャムやガンズ・アンド・ローゼズなどが、そういう偉大なバンドやミュージシャンたちの後を継ぐだろうと考えたことはないですか?

俺は自分たちをそのカテゴリーの一員とも、そのレベルにあるとも思わないよ。でも、確かに奇妙だよな。何よりも、俺自身が20数年後も一つのバンドをやっているってことが信じられない。それにアリーナやスタジアムでコンサートを行っていることだって、今でも信じられない。それに、会場の観客に目を向けると、そこにいるのがフー・ファイターズのTシャツを着ているファンだけじゃないってところまで到達したんだよな。観客の中に60代や70代もいるし、10歳ぐらいの子供も、ティーンエイジャーもいる。俺たちがツアーすると、町中のみんながロックコンサートがあるって言って会場に来るんだろうなって俺は思っているわけだ。だから、俺たちは何かを象徴する立場になったというか……なんだろ? う〜ん、大衆とか(笑)。なあ、わかるだろ?

―では、あなたにとって、その立場に到達したことはどんな意味を持ちますか?

俺たちの人生で「バンド」っていうのが本当に大きな存在だけど、俺たちの人生はそれだけじゃない。だから、バンド活動しているときは毎晩、自分がしなきゃならないことに意識を集中させている。人生全体の仕組みなんて誰も考えていないと思う。実際、そうだな、つまり、45分後にはロビーに降りなきゃダメだとする。その前に俺はバッグに荷物を詰めて、シャワーを浴びる。そしてバスに乗って、会場に行って、セットリストを確認して、クアーズライトを1本飲んで、ステージに上がる。3時間演奏して、ステージを降りて、ピザを一切れ食って、寝台で寝る。今の俺が集中しているのがこれさ(笑)。 それに、俺たちと同じような機会を得た最高のロックンロール・バンドがたくさんいると思う。今でもずっと演奏を続けているバンドもいる。つまり、アークティック・モンキーズが同じことをするって想像できないか? 俺は連中がそうなると思っているよ。さっきケイジ・ジ・エレファントの仲良しメンバーとテキストメッセージを交換していたけど、彼らも俺たちと同じ立場になると容易に想像できるね。

Translated by Miki Nakayama

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