英米チャートが新方針を発表、無料ユーザーのストリーミング再生は反映されるべきか?

有料会員のストリーミングを無料ユーザーよりも重視するBillboardの新方針、イギリスのチャートでも採用が決定 (Photo by Shutterstock.com)

今年上旬、米Billboardと英Official Charts Companがストリーミングにおける有料会員と無料ユーザーの区別化を決定。リスニング環境が目まぐるしく変化している現代において、チャートの不確実性と脆弱さを解消するための動きは活発化しているものの、世界共通の基準は未だ定まっていない。

世界最大の音楽市場であるアメリカとイギリスにおいて、音楽チャートはセールスや再生回数のみならず、今後はストリーミングの質さえも考慮されることになる。今年上旬、米Billboardは有料会員のストリーミングを無料ユーザーよりも重視することを発表。足並みを揃える形で、英Official Charts Companyも同様の方針の採用を決定した。

今週金曜に施工されるこの方針では、プレミアム会員(Apple Music、Spotifyの有料会員など)のストリーミング数は、広告表示が伴う無料アカウント(Spotifyの無料ユーザーなど)よりも6倍多くカウントされることになる。

Official Charts Companyは、プレミアム会員を重視する同方針は音楽業界にとって有益だと主張する。有料会員と比べ、無料ユーザーのアクティビティから発生する金額は遥かに少ないとされている。またプレミアム会員は「最新の音楽をいち早く聴くことができる傾向がある」とされており、結果として流行の曲がチャートのより上位に登場しやすくなるという。

これまでのシステムでは、ストリーミングでの150回再生が旧システムにおける1曲の購入と同等とされていたのに対し、新システムではそれがプレミアム会員の100回再生、そして無料ユーザーの600回再生に相当することになる。Billboardが無料ユーザーのアクティビティをプレミアム会員のそれの3分の2と見なすのに対し、Official Charts Companyの新方針では両者のギャップがより大きくなっている。

同方針により無料ユーザーが多い若年層の意見が反映されにくくなるという危惧に対し、Official Charts Companyは事前に行われたテストでは大きな変化は見られなかったと主張している。「今回の変更によって、レッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズの曲がチャートを独占するようになることはありません」Official Charts Companyの最高責任者マーティン・タルボットはガーディアン紙にそう語っている。

Translated by Masaaki Yoshida

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