写真家が語る、ブルース・スプリングスティーンとの日々:80〜90年代の秘蔵プライベートフォト

ライターズ・リトリート
1995年に再結成したEストリート・バンドとニューヨークのヒット・ファクトリーで行ったセッションの一コマ。スプリングステイーンはノート片手に座り込み、新曲の歌詞を書き換えている。


Photo by David Rose

「時折、彼は曲を書き換える作業をしていた。部屋の隅に座ってやっていたよ。このギターは『Born to Run』のジャケットに写っていたクラシックなものだ。曲に取り掛かっている彼の横には必ずこのギターが親友のように寄り添っていたよ。彼は真剣に作業していて、単語一つ、音符一つも蔑ろにしなかった。じっくりと静かに集中するタイプだよ。曲の作業を行っている最中の彼は本当に集中していたし、ライターとして一人になる空間を必要としていたね」

スモーキン・イン・ザ・ボーイズ・ルーム
ニューヨーク市のヒット・ファクトリーのトイレにいるクラレンス・クレモンズ。1995年。


Photo by David Rose

「これはヒット・ファクトリーだ。男性トイレに入ったら、彼が隅で葉巻を吸っていた。クラレンスはクールな男だったよ。究極のジェントルマンだった。いつも最高の雰囲気で、バンドのメンバー全員が彼を愛していたね。彼の楽屋にみんなが集まるほどの人気者だったよ。ライブの前でも和やかな空気が充満していたね」

バック・オン・Eストリート
再結成したEストリート・バンドの初ポートレイト。ニューヨーク市のヒット・ファクトリーにて、1995年。


Photo by David Rose

「レコーディング・セッション中の休憩時間だ。この撮影は本当に楽しかったね。だってブルースがバンドと再結成したばかりで、何年かぶりに全員が揃ったときだったから。みんなが一緒にいることに興奮していて、再会を楽しんでいた。照明をセットアップしたあと、僕のアシスタントがブルースの上に大きなソフト・ボックス・ライトを落としてしまったんだ。ブルースにケガはなかったけど、彼は笑って『ちょっと待て! 俺をここに立たせたのはこのためか?』って。みんな爆笑だったよ。この写真はニューヨーク市内の今はなきヒット・ファクトリーで撮影された。ここは大きなルームで、巨大なコンソールが置いてあった。本当に美しいスタジオだったよ。ここで録音された素晴らしい作品がたくさんあるよね」

Translated by Miki Nakayama

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