アジカンも魅了するKYTEのシンガー、ニック・ムーンが語る日本と故郷への想い

Toshiya Oguma | 2018/05/10 18:30

| ニック・ムーン(Photo by Yoshiharu Ota) |

UKレスター出身のポストロック・バンド、カイト(KYTE)のフロントマンとして名を馳せてきたニック・ムーンが、さる4月に初のソロ作『CIRCUS LOVE』を、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)が主宰するonly in dreamsよりリリース。いまでは日本に拠点を移した才人の新境地を、オフィシャル・インタビューでの発言とともに辿る。

カイト時代からソロ転向に至るまで

カイトの魅力をいち早く発見したのは日本だった。最初のアルバム『Kyte』は、海外のレーベルより大きく先行する形で、2007年に日本のRallye(近年はLUCKY TAPESやDATSなど、邦楽シーンでも躍進)がリリースし、スマッシュヒットを記録している。シューゲイザーやドリーム・ポップを消化した、壮大かつドラマティックな音像。エレクトロニカ経由のチャーミングな質感と電子音。昂ぶるエモさとナイーブな響き、何よりメロディの強度――そこには当時、ある種のリスナーが求めていたサウンドが、これでもかと凝縮されていた。


カイトが2009年のサマーソニックに出演した際のライブ映像

そういえば、彼らの音楽を初めて耳にしたとき、シガー・ロスと同じアイスランドか、どこか北欧出身のバンドなのだろうと勘違いしたものだ(そういう人は多かったのではないか)。そんなふうに思わせたのは、フロントを務めたニック・ムーンの、柔らかく澄んだ歌声に因るところも大きかった。

その後、カイトは計6度も来日。広く人気を獲得したものの、ポストロックというジャンル自体が失速したのと引き摺られるように、2012年の4作目『Love To Be Lost』を最後に活動停止。(現時点での)ラスト・ライブは、2013年のフジロックである。

「僕らは、解散とかいった大きな決断をするのが苦手なんだ。何か声明を出すとかね。あまりにも付き合いが長いから意思の疎通ができていて、あの時点で、そろそろバンド活動を休んでほかの活動をしたほうがいいかもしれないって、全員が同じ結輪に至ったのさ。その休みがどんどん長引いて、目下僕はソロ・プロジェクトに専念している――という感じかな」

そこから6年が過ぎ、音楽活動をリブートさせたニックは、ついに初のソロ・アルバム『CIRCUS LOVE』を完成させる。同作はレスターにある自宅のスタジオで制作し、全曲の作詞・作曲からプロデュースに至るまで、全てひとりで手がけたのだという。「僕は日記を書いたことがないんだけど、このアルバムは日記に最も近いものなんじゃないかな」とニック自身は表現しているが、ダンサブルなエレクトロ・ポップに接近しつつ、内省的なフィーリングが随所に織り込まれており、そこがまた味わい深い。



「最初の4曲(『End/Gone』『Guul』『Space666』『Something』)は、ピアノを弾きながら書いていた時期の曲なんだ。当時はまだ自信が足りなかったし、プロダクションに関する知識もさほどなかったからね。それから、ちょうどあの頃にひとつの恋愛関係が終わって、しかもかなり真剣な関係だったんだよね。僕は落胆していたし、苦々しい気分を抱いていた。だから、そういったフィーリングについて、曲を書いてみたかった。というのも、カイト時代はあまりパーソナルな曲を書いたことがなかったんだ」

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