ア・パーフェクト・サークルが語るコーチェラの思い出、そしてバンドの未来

ー初年度のコーチェラは、火災と数々のレイプ疑惑に見舞われたウッドストック’99直後の開催となりました。

キーナン:火事やレイプはフェスにはつきものさ、どうってことない。参加者の大半はそんな人間じゃないし、そんな卑劣なことをする奴らは必ず報いを受ける。ああいう環境じゃ、普段は抑制されている欲望に身を任せてしまう人間というのが必ず出てくる。あってはならないことだがね。ウッドストックがああいう形になってしまったことは残念だけど、古今東西フェスという場には、そういうリスクがついて回ることは事実なんだ。

ーAPCを始動させたばかりだった当時、トゥールはどういった状況にあったのでしょう?

キーナン:当時は確か、バンドの活動が裁判やら何やらに水を差されてた。そういう状況で時間を持て余してたし、曲が書けるルームメイト(ハワーデル)もいたから、新しいプロジェクトを始める気になったんだ。

ートゥールの現在について、何かコメントできることはありますか?

キーナン:何もない。俺はただ待ってるだけで、動き出す用意はできてる。あとはやつら次第さ。

ーAPCにとって久々のアルバムを引っさげて、再びコーチェラのステージに立つ気分はいかがですか?

ハワーデル:少し緊張してるのは確かだね。昨日別のフェスで肩慣らしをしたばかりなんだ。ツアーも始まってないし、バンドは決して脂が乗ってる状態とは言えない。昨夜新曲の多くを初めてライブで披露したばかりだから、今日のオーディエンスは音源とは異なるアレンジの曲群を初めて聴くことになるよ。興奮と不安が半々、というのが正直な気持ちだけどね。とにかく楽しむだけさ。

キーナン:オーディエンスとの繋がりを感じられたらいいと思ってる。年をとることの一番のリスクは、リスナーとの接点が失われてしまうことだ。俺たちが過去の栄光にすがるんじゃなく、今の自分たちの姿を伝えようとしていることを、ファンが理解してくれることを願ってる」

ー長い沈黙が続き、ア・パーフェクト・サークルはもう始動しないと思っていた人々も少なくないと思います。

キーナン:バンドの沈黙の理由のひとつは、俺がしばらく表立った活動から遠ざかっていたからだ。ワイナリーを運営し、トゥールの再始動に向けて水面下で動き、プシファーとしての活動も続けていた俺は、その全てを同時に進める日々に疲れてしまっていた。でもしばらく休養をとると、また表現者としての血が騒ぎ出した。ビリーはたくさん曲を書き貯めてたから、俺たちは長く眠っていたプロジェクトを再始動させることにしたんだ。

ー今後はアルバムを引っさげた、何ヶ月もに渡るツアーが控えています。ア・パーフェクト・サークルは完全復活を遂げ、未来を見据えて動き始めたと断言していいのでしょうか?

ハワーデル:再び沈黙することはないかって?そうであって欲しいけど、メイナードはいろんなプロジェクトを抱えてるからね。でもそれについては、1998年にこのバンドを始めた時から理解しているつもりなんだ。APCが再始動できたのは、彼に時間の余裕ができたからだ。こうして活動できることを、今は心から嬉しく思ってるよ。これが僕の生きがいだからね。


Translated by Masaaki Yoshida

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