デビュー20周年のm-floとダンス・ミュージックの20年を振り返る

Rolling Stone Japan 編集部 | 2018/05/04 10:00

| 左からm-floのVERBAL、LISA、☆Taku Takahashi |Rolling Stone Japan vol.02(Photo by Shuya Nakano) |

ローリングストーン本誌に掲載された、デビュー20周年を迎えるm-floの歩みとダンス・ミュージックの20年の流れを対比させながらインタビューした今回の企画。聞き手はDJのTOMO HIRATA。今・イズ・ファンタスティック(by LISA)な記事全文を公開する。

2000年、1stアルバム『Planet Shining』でm-floが考えていたこと

ーm-floの1stアルバム『Planet Shining』(2000年)を聴いていたら、「Radio Show: Interlude 4」でドナルド・トランプの名前が出てきて驚きました。


VERBAL:そうだ!

☆Taku:ラップの中で出てくるんだよね。

ー近未来のラジオ番組ということで、その他にはCDという媒体が昔のものとされていてレコードでみんなが音楽を聴いているということや、携帯電話の代わりに耳にイヤホン的なものを装着しているとか、今を予知したようなやり取りが出てきて。

☆Taku:僕ら自身がちょうど21世紀目前(1998年)に結成したじゃないですか。それまでは凄い未来が待ってると思っていたけど、実際はそんなに21世紀感を感じなくて。もっと明るい未来を目指したい気持ちがあったから、ああいうインタールードが出来上がったんじゃないかなって分析します。

ーサウンド的にはどうだったんでしょう? 未来っていうのは当時のm-floにとって大事なキーワードだったんですか。

☆Taku:サウンド的には好きなものを全部入れていこうと。未来というよりは、当時のJ-POPにないものやダンス・ミュージックで好きな要素を入れていくんですけど、LISAのヴォーカルとVERBALのラップが海外のトラックに乗せてもカッコいいものになるから成立したんだと思うんです。とはいえ、その頃の僕は間違いまくってるんですよ。2ステップを作ろうとしてウッドベースを入れたり、ドラムの音色もこのジャンルだったら定番のキックとかスネアの音を使ったりするところを間違えてる。でもそれが面白さにつながったのかもしれない。

VERBAL:デビュー当時は右も左も分からなかったから、とりあえず自分が分かる範囲のことを思い切りぶつけていたというか。というのも、自分はもともとアンダーグラウンドなヒップホップが好きだったので、そういう世界観やラップのフロウとかデリバリーを意識しながら、☆Takuが持ってくるトラックやLISAのメロディが乗った曲に対して当てていくんですけど、「これ、自分が思い描いているヒップホップじゃないぞ」っていういい意味での違和感があったんです。葛藤もあったんですけど、作っていくうちに☆Takuも言ったようにアクシデントがあって新しいものが生まれていったので、それはそれでいいなと思うようになってきて。当時は“ヒップホップはこうじゃなきゃいけない”っていう固定概念が強かったので、☆Takuとはヒップホップの定義について討論しましたね。

☆Taku:m-floを始めた当初は特に多かったよね。

VERBAL:あとはデビューした人たちにありがちなんですけど、今までやりたかったことを1曲に全て詰め込もうとしたり、自己主張がその頃はもっと強かったかもしれないと今の話を聞いて思い出しました。だから結果、良かったのかもしれないんですけど。


m-floのディスコグラフィー|Rolling Stone Japan vol.02掲載

ー本当にやりたかったヒップホップとは違うものだった?

VERBAL:覚えているのが、m-floのステージで自分のヒップホップ感をお客さんにぶつけたい、俺のリリックを聴け!ってアプローチしたときに、お客さんが喜んでいるポイントが「刺さってほしいポイント」とはまったく違って、僕が狙っているところと違うところにアピール・ポイントを感じてもらっているなって、ステージ上や曲を出していくごとに感じたり。m-floっていうグループはアルバムごとに進化を遂げ、新しい景色を見て、生意気な意味じゃなく大きい世界にだんだん突入していったので、当時のヒップホップっていう枠の中では収まり切れないことを僕たちはしてたんだなと。そっち(ヒップホップ)はそっちで最高なんですけど、僕はそもそも違っていたのかなって、今になって思いますね。

☆Taku:でも実際にヒップホップ的なことをやると、めちゃくちゃ締まるんですよ。最近、PKCZ®とスヌープ ・ドッグが「BOW DOWN (feat. CRAZYBOY)」でコラボしたときも、ミュージックビデオではVERBALとスヌープが同じ場所に立ってラップをしているんだけど全然しっくりくるし。

VERBAL:ヒップホップの人たちってストリート感があるじゃないですか。そういう場所にいると、僕だけポツンと浮くことが多いんですけど(笑)、それはそれで味だからいいのかなと。いい違和感が味があるというか。m-floは音楽業界全体の中でもいい違和感を持ったグループだという気がして、変わったことをしているし、お互いが同じ方向を向いているんですけど同じ方向に行かなかったり(笑)。

ーLISAさんは当時、m-floの中でどういう役割だと自覚してましたか?

LISA:やはり歌うだけでは私は活きないので、自分のメロディは自分で作って、自分の歌詞は自分で書いて、☆Takuは音で表現して、VERBALはラップで表現して、私は歌なのでメロディも全てやることが私にとってのインポータントなこと。今もそのようにしています。

☆Taku:LISAはライティングにこだわるよね。

LISA:すごくこだわる。唯一の女子だからって「You just a singer」と言われるとNO!って。ただ歌っているだけの人に見えるのかな?

☆Taku:そういう意味で言ってはないと思うけど。

LISA:でも伝わらないよね。何でだろう。

VERBAL:LISAの話から余談なんですけど、日本って例えばファッションデザイナー=髪型がちょっとボサボサで神経質そうな人が本物、みたいな見方だったり、固定観念というかステレオタイプがあって、何でファッションデザイナーがウキウキしていちゃダメなのって。そういうのと一緒で、LISAは見た目も派手だからそういう人は表に出るだけの人なんでしょ?って勝手に決めつけられる傾向があるなと。僕たち3人はデビュー当時に、多国籍寄せ集めグループって言われて(笑)。いや、インターナショナルスクールに行ったらみんなこんな感じですって(笑)。朝、学校に行ったら黒人が少年ジャンプを読んでいたり、今はもう普通ですけど、20年前の日本だったら何それ?みたいな感じだったんですよ。

LISA:でもこういう場では言っておきたいんだよね。自分のところは自分で作ってるってことは、当時からどうにもこうにも外に出ない情報だったので、それもきっかけの一つでm-floをやれなくなっちゃったっていうのはありました。でもこれからは自分でももっと言っていきたいと思うし、自分の歌は自分で書いてますっていうのは分かってほしいです。

Interviewer = Tomo Hirata Text = Takuro Ueno (Rolling Stone Japan), Motomi Mizoguchi

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