ONE OK ROCKが2018年に体現した過去と今と未来 ワールドツアー最終日・福岡公演ライブレポ

13年のバンドの歴史を振り返るライブ映像(ライブハウスから渚園まで、その規模の振り幅に驚かされる)が流れた後、メンバーはサブステージに移動。ここからは「過去」のパートだ。東京公演ではバンド結成の経緯やお互いの当時の印象などについて4人が会話を繰り広げたが、この日はハイエースで初めて福岡に来たときのこと、機材車の後ろでTakaが寝ているときにときどき機材が落ちてきたこと、また東京に戻って来たときの機材の積み下ろしをTakaが嫌がったことなどが語られた。

サブステージではメジャーデビュー曲「内秘心書」をアコースティック・セットで披露。この曲は、誰にも負けたくないという一心で当時絶望のどん底にいた彼らが作り上げたもの。Takaも「今日を最後に、しばらくやらないと思う」とMCで語っていたが、普段はほとんど演奏されない曲で、特別なドームツアーということで用意したのだった。アコースティックで聴くと曲の骨格がくっきり見えるため、ONE OK ROCKのエモーショナルなメロディの原型がデビュー当時から既にあったんだなということが分かる。


(Photo by Kazushi Hamano)

「シングルにもなってないし、リード曲でもないけど、みんなに大事にしてもらっている曲」ということで始まったのは「Wherever you are」。シンクロライトが紫に発光して、会場は幻想的な雰囲気に包まれる。“どうかこんな僕とずっと 死ぬまで Stay with me We carry on”というストレートな歌詞が響く愛のバラードだが、こういうタイプの曲でも透明感を感じさせるTakaのヴォーカルはONE OK ROCKの強力な武器の一つである。Toru、Ryota、Tomoyaがサブステージから下りて、Takaのみでアコースティック・ギターを持って披露した「Last Dance」も同様だ。この曲でも愛が歌われているが、Takaの声にはいろんな感情の成分が凝縮されていて、それがONE OK ROCKの歌の世界に深みを与えている。

曲が終わると同時に場内は暗転、シンフォニックなサウンドとともにギター、ベース、ドラムだけのインスト曲がメインステージで始まる。RyotaとTomoyaがボトムを支え、Toruが緩急織り交ぜたアプローチで聴かせる。ちょっとしたジャムセッション的な展開を見せつつ、彼らにしか出せない持ち味が発揮されていた。そして忘れてはいけないのが、Takaと同じく、この3人のプレイにもいろんな感情が詰まっているということだ。

そしてライブ本編は「今」のパートとなる。「さあ福岡、後半戦行くぞ!」の合図とともに「Deeper Deeper」のイントロの強烈なフックが鳴り響く。終始全力でぶつかるTakaのヴォーカルもツアー最終日だからなのか、ややつらそうな場面も感じられたが、それでもこの曲の歌詞にある“へたれてる時間なんて微塵も無いぞ”“後悔しないように生きる”のように、攻撃的なサウンドに乗せて荒ぶる歌を聴かせてくれた。そんなTakaに呼応するようにオーディエンスも全力のヘッドバンギングを見せる。

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