SKY-HIライブレポ:答えと希望と可能性を宿した音楽

6曲目の後に少し長めの暗転があり7曲目の「Blame it On Me」からBパートへ。楽しさ全開のAパートに比べると、Bパートはクールな曲と演出が特徴で、「魅せること」に比重が置かれていた。その一方でラップの比重も増え、10曲目の「Double Down」では観客とのコール&レスポンスを行うなど、SKY-HI自身も、そしてオーディエンスもウォームアップ完了=臨戦態勢となる。

そんなBパートを経た後の12曲目から20曲目の「フリージア~Epilogue~」までの9曲で構成されたCパートは、とてつもないパートだった。ウォームアップが終わり、突入したCパートは、それまでとはまるで別世界のようなラップ色全開で、メッセージの塊だった。

Cパートの幕開けは「Young, Gifted and Yellow」。“物より心に有る格差社会”“変わらない街 変わってく価値”“いくら過去を振り返って見ても 未来から見れば今も同じでしょう”とオーディエンスをゆさぶっていく。さらに、歌詞にはない“これちょっとシリアスだけど盛り上がれ“というパンチラインをぶち込み、ライブのテンションをよりいっそう高めながらメッセージを放っていく。

続く「十七歳」は短編小説のようなラップ曲。歌とラップよりも、“言葉”に揺さぶられた。そして曲の最後に残された“この涙の二つ目の意味は 俺だけ知ってりゃそれでいいや”というリリックは今でもハッキリと心に残っている。

Cパート5曲目の「F3」は、政治的なメッセージが強いラップ曲だ。曲の途中で“トランプ“という言葉が絶妙なカタチで出てきてニヤリとさせる。

続く「Walking on Water」は“水の上を歩くという”キリストを想起させ言葉と映像、さらに曲の最後にも発せられる“Amen”という祈りのような言葉もあり、宗教を歌った曲ともとれる内容だ。しかも、この曲ではリリックがアニメように視覚化され、言葉の響きだけではなく、言葉の造形的な面でも意識を投げかけてくれた気がする。この曲を、もう一度この演出のままライブで観てみたい。そうしたらまた別の発見がありそうだ。それほどの深さを感じた曲であり演出だった。



そして「何様」「Front Line」と続き、いよいよ「フリージア~Epilogue~」へ。その「フリージア~Epilogue~」の演奏前に長めのMCを挟む。ここまでの一連の流れで社会的な問題、不条理な社会に生きる若い世代の心の問題などをラップで投げかけたSKY-HIは、MCでこんな話をした。

「“逃げること”は“戦うこと”の反対じゃない。“戦うこと”の反対は“目をつぶること”」だと。「だから見なかったことにはできない」とも言い切った。そして、「君が生きるているその意味も価値もこの音楽で証明しよう」と言い放ち「フリージア~Epilogue~」が披露された。
この曲では、“ねぇ話をしよう”とラップする。そしてそのリリックが妙に響いた。

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