アーロン・ジャッジ:野球の常識を覆すヤンキースの超大型スラッガー

Bob Klapisch | 2018/04/08 11:30

| 今シーズンが「楽しみで仕方ない」とローリングストーン誌に語るニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ(Photo by Theo Wenner for Rolling Stone) |


スターダムにのし上がるまでの道のりは決して順風満帆ではなかったが、どんな時も奢らないその謙虚さにこそジャッジの強さの秘訣がある。春キャンプの最終週で右翼手に選出されるまで、彼はほとんど注目されていなかった。前半戦の時点で、彼は打率.312、33発のホームランという成績を残しておきながら、7月と8月は不振にあえぐことになった。オフ中に手術を受けた左肩をかばいながらプレーしていた彼は、3打席に1度以上の確率で三振に終わり、36試合連続で最低1三振を奪われるという、不名誉なメジャーリーク記録も打ち立てた。

不振に苦しんだ時期も、ジャッジは決してメディアの目を避けようとはせず、お粗末な結果に終わった試合の後でも取材を受けた。昨シーズン中はほとんどミッドタウンのホテルに滞在していた彼は、路上で声をかけられれば快くサインに応じた。その巨体は目立つだけでなく、どこか親しみやすさを感じさせるのだろう。

「それも仕事のうちだからね」そう話す彼の現在の課題は、去年の夏にスランプに陥った理由を解明し、今シーズンに同じことを経験しないようにすることだ。策略がものをいう野球は、他のどのスポーツよりもチェスに近いと言われる。「敵のピッチャーたちは俺の攻略法を練ってきてる」ジャッジはそう認める。「それをさらに攻略するのが僕の役目だ」

ヤンキースはオフシーズンにおけるマーリンズとのトレードで、身長201センチ、体重約120キロを誇るナショナルリーグの至宝、ジャンカルロ・スタントンを獲得したことで、60年代におけるマントル&マリスにも引けを取らない、ジャッジ&スタントンという巨砲コンビを誕生させた。2017年のナショナルリーグにおける最優秀選手賞を獲得したスタントンは、ジャッジが「自分に似ている」と話しているが、スタントンは近づきがたく、ジャッジのようにフレンドリーではない。ジャッジが平和の象徴である鳩だとすれば、自身の放出を巡ってマーリンズの新オーナーのデレク・ジーターと激しく言い争ったスタントンは、まるでコブラのような存在だ。彼のホームランは怒りに満ち、レーザーショットと表現されるそのライナーは、ジャッジの長い腕から繰り出される豪速球にも引けを取らない。

そのコンビの誕生に、当然ながらファンは熱狂した。ヤンキースはキャンプ開催前の1月だけで、50万枚の観戦チケットを売り上げた。ジャッジとスタントンの2人の合計ホームラン数は100を越えると予想され、チーム全体では1936年以来となる1000ヒット達成に期待がかかる。ワールドシリーズ進出の鍵を握る2人だが、やはりリードするのはジャッジだ。

「このチームで今シーズンを戦えることに興奮してるよ」彼はいつもの人懐っこい笑顔を浮かべてそう話す。「自分が期待されてるのは自覚しているけど、僕には頼れるチームメイトたちがいる。このチームには本当に素晴らしい選手たちが揃っているんだ。どこまでいけるか、今から楽しみで仕方ないよ」
Translated by Masaaki Yoshida

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