フジロックで初来日する全米No.1ラッパーのポスト・マローン、その素顔に迫った独占ルポ

Jonah Weiner | 2018/04/06 11:01

| 2017年10月、アトランタのアンティークショップ「Highland Row Antiques」にて(Photo by Diwang Valdez) |



ポスト・マローンことオースティン・ポストは、ニューヨークのシラキュースで生まれた。彼が9歳の頃、父親がダラス・カウボーイズの居留地の管理を任されたことをきっかけに、家族全員でテキサスに移り住んだ。ギター・ヒーローに夢中だったオースティンは、やがて本物のギターを手にする。彼はありとあらゆるタイプの音楽に慣れ親しんだ。高校時代には『ヤング・アンド・アフター・ゼム・リッチズ』と題されたヒップホップのミックステープを制作したほか、「メタル・バンドとインディ・バンドでプレイしていた」という。ハンク・ウィリアムス、エイサップ・ファーグ、バイオハザード、ファーザー・ジョン・ミスティ等をフェイバリットに挙げる彼は、さまざまなスタイルに対応してみせる。ネット上では彼がボブ・ディランの「くよくよするなよ」を情感たっぷりに歌い上げる姿や、凄まじい迫力でレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「キリング・イン・ザ・ネーム」をカバーする映像を見ることができる。

ドアベルが鳴り、マローンが迎え入れたのはダラス時代からの友人であるジェイソン・プロープストだ。数年前、彼はジョークを連発しながら友人たちとマインクラフトをプレイしているところをストリーミングして以来、知る人ぞ知るネット上の有名人になっていた。2014年にプロープストがカリフォルニアのエンシノに移り住み、マインクラフトのプレーヤーたちとともに家を借りたとき、マローンは居候として彼らの厄介になりながら、音楽業界の中心であるその街で大きなチャンスを掴むことを夢見ていたという。「何が何でも成功しないといけなかった」。マローンはそう話す。「さもなけりゃチキン・エクスプレスに逆戻りだったからな」

それから1年も経たないうちに、ツテを使ってレコーディング・スタジオに頻繁に出入りするようになっていたマローンは、そこで出会ったプロデューサーのFKi 1stからレコーディングの機会を与えられる。その成果の一つ「White Iverson」は、彼がサウンドクラウドにアップするやいなや、ウィズ・カリファやマック・ミラーのツイート等によって瞬く間に話題となり、ほどなくしてマローンはメジャーレーベルとの契約を果たした。その後発表されたシングル6曲はプラチナディスクに認定される。その後もカニエ・ウエストとリック・ルービンとのレコーディングや、2016年のデビュー・アルバム『Stoney』にも参加したジャスティン・ビーバーのオープニング・アクトを務めるなど、彼は破竹の勢いで頭角を現していった。

マローンはビーバーについて「最高にクール」で「気が置けない仲間」だと話す。「あいつ最近宗教にハマっててさ。マジでカルトなやつにね」。ビーバーが所属するヒルソング教会について、彼はそう話す。「カルトじゃないよ!」。アシュレンがそう声を上げる。「完全にカルトだよ」。マローンは主張を繰り返す。「あいつこれまでに1000万ドルぐらい寄付してるんだぜ。マジでクソみたいな連中にさ。俺も昔は信心深くて、神の存在を信じてた。でも気づいたんだよ。人々が心の拠り所にするものに寄付するのは悪いことじゃないけど、奴らはその金をただ散財してるんだ。教会の天井一面を金ピカにして神様が喜ぶと思うか?」。自身の見解をビーバーに話したことがあるかという問いに、彼はこう答える。「そんな話はしないよ」(ビーバーに近いある人物は、彼が1000万ドルを寄付した事実はないとしている)

 
ポスト・マローンとジャスティン・ビーバー(Justin Bieber/Instagram)

「ジャンル分けなんてくだらない」そう話すマローンにとっては、ビーバーとのコラボレーションも21サヴェージとの共演も同一線上にあるのだろう。その一方で、黒人文化に根差したアートフォームの分野で大きな成功を収める白人の自分が、紛れもないアウトサイダーであることを彼は自覚している。
Translated by Masaaki Yoshida

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