映画『嘘を愛する女』中江監督が語る、TSUTAYA発掘コンペ優勝と映画制作秘話

ASAMI OKISHIMA | 2018/04/05 12:00

| 『TSUTAYA CREATOR’S PROGRAM』第1回目グランプリ受賞者の『嘘を愛する女』中江和仁監督(Photo by RSJ) |


必死で働くアラサー女子が共感する映画『嘘を愛する女』のリアル

ー監督のリアルさに対するこだわりは、作品からひしひしと感じられました。長澤まさみさんが演じる河原由加利は、人気食品メーカーの敏腕美人広報、いわゆる“バリキャリ”です。彼女は東宝シンデレラガールとして華々しくデビューし、数々の映画やドラマで主演経験を積んできた、いわば“ヒロインのプロフェッショナル”。そんなプリンセスが演じるキャラクターに素直に感情移入できたのが、いち観客として実は意外でした。

そうですか(嬉)。

ー由加利みたいな働くアラサー女子を大勢知っているからかもしれません。得意先の接待で毎晩のように深酒して、家に帰ったらヒモ属性のメガネきっちゃん(=高橋一生)がグレーのスウェット着て、ボサボサ頭でごはん作って待ってるなんて!!

(笑)

ーでも、失礼ですが、すごく特別なことをやっているわけではないですよね。ロケ場所もわかりやすいし、カメラをダイナミックに動かすわけでもないし。でも“桔平”を名乗る男の本当の姿を追うミステリー仕立てのストーリーにも、素直にドキドキしてしまいました。

長澤さんとはCMで何度かご一緒しているのですが、30歳をすぎてから本当に素敵になったというか、ますます魅力が増した。アイドル的な立ち位置から一歩踏み出して、あか抜けた感じがするのかな? 今回も、クランクイン前に由加利に関するキャラクター設定資料を渡した以外、僕からはとくに何もお願いしませんでした。


(C)2018「嘘を愛する女」製作委員会

ーおっさん探偵の吉田鋼太郎さん、膝を抱えて常にデスクトップにカチカチと向かっている探偵助手のDAIGOさん、ゴスロリ嬢の川栄李奈さん、場末の居酒屋のママの黒木瞳さんなど、バイプレイヤー陣もとても豪華なのに、みんな妙に血が通ってて「いるいるこういう人」と愛着がわきました。

ありがとうございます(笑)。実は「極力普通っぽくすること」にいちばんこだわったかもしれません。公開の規模が大きいと「映画とはエンタテイメントであるべき」と意識しなければならなく、画的に“わかりやすい派手さ”も求められるんです。たとえば、由加利みたいなバリキャリOLが働くオフィスは吹き抜けがバーンとある総ガラス張りの高層ビルだろうとか、研究施設は最先端の機器が揃うラボ風にだとか、住んでいるマンションも広くてゴージャスな感じじゃなきゃとか。さらに、物語の後半は瀬戸内を徘徊する設定になっていますが、当初は海外に行く話もチラリと出ていた。でも、あまりそっちばかりに振ると“月9ドラマ感”が出ませんか?「29歳でこんな豪華なマンションは買えんやろ?」とか突っ込みたくなるような非日常感を出したくなくて「なるべく普通に」を心がけました。

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