トム・モレロが断言、アーティストの成功を示すたったひとつの基準

プロフェッツ・オブ・レイジのトム・モレロ(Photo by Eitan Miskevich)

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ、ティム・コマーフォード、ブラッド・ウィルク、パブリック・エネミーのチャックD、DJロード、そしてサイプレス・ヒルのB-リアルによって2016年に結成されたスーパーグループ、プロフェッツ・オブ・レイジ。彼らが今回、4月1日に幕張メッセで開催される「VANS WARPED TOUR JAPAN 2018 presented by XFLAG」のヘッドライナーとして出演。来日を目前に控え、中心人物であるトム・モレロへの電話インタビューが実現。バンドの近況、ワープト・ツアーでの実体験、アーティスト論まで、分かりやすく示唆に富んだ話をしてくれた。

「ワープト・ツアーでは、音楽を心から愛するすごくオープンマインドなオーディエンスを相手に演奏できる」

―プロフェッツ・オブ・レイジ(以下POR)の誕生から約2年が経過しました。最初は長期的な展望は抱いていなかったようですが、活動はすっかり軌道に乗りましたね。

トム:ああ。結成当初は言うなれば、2016年の大統領選挙を控えたアメリカの状況を受けての、緊急措置と捉えていた。でもツアーを始めてしばらく経って、ふと気付いたんだ、パーソナルな面でも音楽面でも素晴らしいケミストリーを確立したから、活動を続けてバンドの可能性を掘り下げるべきだ、とね。そこで最初のツアーを終えると、スタジオに直行した。ステージでのケミストリーを果たしてスタジオにも持ち込めるのか、知りたかったんだ。するとたった2週間で10曲が生まれて、俺たちはアメリカの傷口に貼る絆創膏どころか、グローバルな存在意義を持ち得ると確信したのさ。

―この間アメリカの政情は混迷を深めるばかりでしたが、PORが避難所になったところもあるんじゃないでしょうか?

トム:まさにそうだね。避難所であると同時に、メガフォンにもなった。SNSに遥かに勝る威力を備えた、発言手段を与えてくれたんだ。それに考えてもみてくれよ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(以下RATM)の曲、パブリック・エネミーの曲、サイプレス・ヒルの曲をプレイできて、オリジナル曲もどんどん増えている。つまり俺たちの弾薬庫には革命的ロックンロールがぎっしり詰まっているし、オーディエンスの反応から判断する限り、メッセージを含んだ音楽を今誰もが欲していると思うよ。


Photo by Eitan Miskevich

―しかも四半世紀前に書かれたあれらの曲が、今でも何ら違和感なく響きますよね。

トム:残念なことにね(笑)。喜ぶべきことじゃないが、よりいっそう力強く響いているくらいだよ。こんなに必要とされたことはかつてなかった。でも世の中には、決して消えないことがふたつある。ひとつは不公正。もうひとつは不公正への抵抗だ。俺たちが作ってきた音楽は常にその抵抗の動きに寄り添い、一翼を担ってきたんだよ。

―目前に控えた日本公演では、ワープト・ツアーのヘッドライナーも務めます。アメリカでは今年が最後の開催になりますが、このツアーについてはどんな印象を抱いていますか?

トム:ワープト・ツアーはアメリカでは間違いなく、非常に重要なイベントとして長年機能してきた。新進バンドをファンに引き合わせる機会を提供するだけでなく、中堅~大物バンドにとっても、音楽を心から愛するすごくオープンマインドなオーディエンスを相手に演奏できるから、エキサイティングなイベントなんだ。社会問題を語るにしても真剣に受け止めてくれる。実は、ナイトウォッチマンとストリート・スウィーパー・ソーシャル・クラブとして出演したことがあってね。アーティストたちもツアー中に結束を固めるし、いろんな意味で民主的に運営されていて、本当に楽しかったよ。そんなわけで形は違うかもしれないけど、日本でもワープト・ツアーを体験してもらえるのは、喜ぶべきことだ。ステージに立てる俺たちも光栄だよ。


Photo by Eitan Miskevich

―では、どんなショウを期待できそうですか?


トム:まず俺たちのライヴでは、さっきも言ったように各メンバーが関わった全バンドの曲をプレイして、歴史に敬意を表する。と同時にPORの曲もたくさんあるから、毎晩セットリストを考えるのが楽しくてしょうがないんだ。ただ歴史を尊重しつつも、2018年の世界に即したショウを作り上げることを忘れない。というのも、このバンドにノスタルジアが入り込む余地はないってことは、結成したときから誰の目にも明白だった。これは今の時代のために生まれたバンドなんだ。この乱世のためにね。

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