銃乱射事件、ケンタッキー州知事がビデオゲームを「死のカルチャー」と非難

ケンタッキー州のマット・ベビン知事はビデオゲームについて「死のカルチャーがもてはやされている」と非難した(Photo by Kirk Irwin/Getty Images for SiriusXM))

米フロリダ州パークランドの高校で17人が犠牲となった銃乱射事件の翌日、ケンタッキー州知事は、暴力的なビデオゲームに非難の矛先を向けた。

WHASのリーランド・コンウェイ(米国現地時間15日朝)によるインタビューに答え、共和党のマット・ベビン知事は、フロリダの人々へ哀悼の意を表すると同時に、暴力的なビデオゲーム、テレビ番組、音楽を通じて「死のカルチャーがもてはやされている」と非難した。

「年齢制限のかかったビデオゲームを、年齢が満たない子どもたちもプレイしていて、皆が見て見ぬふりをしている。子どもたちが遊ぶのを阻止する方法もない」とベビンは言う。「子どもたちは(ゲームの中での)殺人を楽しんでいる。学校内での乱射事件とそっくりなシチュエーションでスコアを稼ぎ、倒れて命乞いをする人にとどめを刺すとさらにボーナスポイントを獲得できるようなゲームが存在する」

「言論の自由を盾にはびこるビデオゲームがある。それらはガラクタで、ポルノと同じだ。人の命を尊び、女性の尊厳を重んじ、品位を大切にする気持ちを鈍らせている」

ベビン知事は、全米ライフル協会(NRA)の支持を受け、NRA関連の集会(NRA-ILA Leadership Forum)でスピーチを行ったこともある。インタビューで彼はビデオゲームの全面禁止を求めた訳ではなく、ビデオゲームが社会の中でどのような価値があるのか疑問を投げかける必要があると思う、と述べている。「例えば、殺人を助長するようなビデオゲームは必要なのだろうか?」と彼は言う。「歌詞、テレビ番組、映画など、作っている人たちに問いたい。彼らの制作するビデオゲームや映画から何かよい効果を得られるのか? ショックを与え、彼らがただ儲ける手段ではないのか? どんな価値があり、いくら儲けるのか?」

ベビン知事は、2018年1月に自らのお膝もとであるケンタッキー州のマーシャル郡立高校で発生した銃乱射事件後にも同様の発言をしている。同事件では2人が死亡、18人が負傷した。「若い人たちが、悲劇的な現実や、死という永遠の別れについて鈍感になっているのは我々の責任だ。これはカルチャーの問題だ」とFacebookに投稿している。

マーシャル郡の高校での乱射事件を受け、ゲーム反対派の活動家でフロリダ州の弁護士資格を剥奪されたジャック・トンプソンもまた、ビデオゲームに非があるとしている。彼はベビン知事とケンタッキー州警察のリック・サンダース署長にレターを送り、州警察が事件の捜査を妨害していると訴えた。パデューカ・サン紙が伝えたところによると、トンプソンは、マーシャル郡の弁護士ジェフ・エドワーズからの話として、15歳の容疑者がプレイしていたビデオゲームを、最近祖母が取り上げたことを明らかにしたという。2009年にトンプソンは、フロリダ州最高裁から、弁護士資格の永久剥奪を言い渡されている。彼の名前は、1990年代と2000年代に起こした、ビデオゲームと実世界での暴力を関連付けようとした一連の訴訟に敗北したことで評判になった。

FOXニュースのコメンテーターであるタミー・ブルースは、「銃器についての議論は、“人間の条件”の“核となる論点”とはならない」と主張した。FOXニュースのトーク番組『FOX&フレンズ』の司会者たちも彼女同様、乱射事件の要因としてドラッグ、バーチャルリアリティ、ビデオゲームに非難の矛先を向けた。

Translated by Smokva Tokyo

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